虹の松原の折れたマツ衝突事故で遺族が国・県・市を提訴、母親が行政のずさん管理を追及
名勝の折れたマツ衝突事故、遺族が国・県・市を提訴

特別名勝で発生した痛ましい事故、遺族が行政の責任を追及

佐賀県唐津市にある国の特別名勝「虹の松原」を通る県道で、2019年に発生した折れたマツの木と車両の衝突事故。この事故で乗車していた小学5年生の男児が死亡し、遺族が国、佐賀県、唐津市を相手に国家賠償訴訟を提起している。

事故の詳細と遺族の主張

事故は2019年7月20日の深夜に発生した。母親の内山明日香さん(43)が運転する軽乗用車に、幹回り最大3メートルにも及ぶ大きなマツの木が衝突。この折れた木は根元から約6メートルの地点で折れており、助手席に乗っていた当時11歳の長男に直撃、男児は残念ながら死亡した。

2026年2月13日、佐賀地方裁判所で行われた国家賠償訴訟の口頭弁論では、原告である内山さん本人の尋問が実施された。内山さんは法廷で、行政側のずさんな管理が事故を招いたと強く主張。さらに事故後の捜査についても不十分だった点を指摘し、責任の所在を明確に求めた。

食い違う見解と過去の経緯

訴状などによれば、衝突したマツの木は事故の約6年半前、2012年12月の時点で既に何らかの問題を抱えていた可能性が示唆されている。遺族側は、行政機関が適切な点検と維持管理を行っていれば事故は防げたとの立場を堅持している。

一方、被告側である国、県、市の主張は遺族側の見解と食い違いを見せている。行政側は管理責任の範囲や事故との因果関係について異なる解釈を示しており、今後の裁判で争点となる見込みだ。

求められる損害賠償と社会的影響

遺族は国、佐賀県、唐津市の三者に対して、約3160万円の損害賠償を求めている。この訴訟は単なる金銭的な補償を超え、公共施設や名勝地の安全管理の在り方に大きな問いを投げかける事例となっている。

特に「虹の松原」は国の特別名勝に指定されている観光地であり、多くの市民や観光客が訪れる場所。同様の事故が再発しないためには、行政による継続的かつ徹底した維持管理が不可欠だ。

内山さんは「行政や捜査がずさんだった」と訴え、単なる事故処理ではなく、根本的な安全管理体制の見直しを求めている。この裁判の行方は、今後の公共施設管理の基準にも影響を与える可能性が高い。