2026年度診療報酬改定が決定、医療機関支援を強化
厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会は、2026年度の診療報酬改定内容を決定し、上野厚生労働大臣に答申しました。この改定は、物価や人件費の上昇に苦しむ医療機関への支援を柱としており、初診時や再診時に20円を上乗せする物価対応料を新設するなど、経営安定化を目指しています。また、救急患者を積極的に受け入れる病院への報酬を上げることで、超高齢社会に対応した医療体制の構築を促します。新たな診療報酬は2026年6月から適用される予定です。
物価上昇への対応と人件費対策
近年、物価や人件費の上昇により、医療機関の支出が増大し、経営が悪化しています。診療報酬は医療機関の収入の基盤となるため、政府は2025年12月に、医師や看護師らの人件費に充てられる「本体」部分を、30年ぶりに3%超となる3.09%引き上げることを決定しました。具体的には、手袋や注射針などの医療器具の値上がりに対応するため、初診料や再診料、入院料に物価対応料を設けます。外来では初診時と再診時にそれぞれ20円、入院では病院の役割に応じて130円から840円を増額します。さらに、今後の物価上昇を見据え、2027年6月からは外来で40円、入院で260円から1680円の上乗せとなる計画です。
人件費上昇へのさらなる支援策
人件費の上昇に対応するため、看護師らの賃金を上げた医療機関が得られるベースアップ評価料も増額されます。すでに賃上げを行っている医療機関では、外来の初診時評価料が現行の60円から230円に、再診時が20円から60円に上がります。新たに賃上げを行う医療機関の評価料はそれぞれ170円と40円となります。入院に関しては、現行の最大1650円から最大2500円に引き上げられ、2027年6月からは上乗せ額が約2倍となる見込みです。
救急医療と地域医療の強化
救急患者を多く受け入れる病院が地域で中心的な役割を果たすように、高い入院料を得られる仕組みも導入されます。例えば、年に2000件の救急搬送を受け、1200件の全身麻酔手術を行う病院は、患者1人あたり1日19,300円を得ることができます。また、脳死者から提供された臓器の移植を行う病院を支援するため、従来の手術料に加えて4倍の料金を支払う制度が設けられました。これは、人員や設備不足により移植が見送られる問題が発生していることを受け、体制の充実を図る目的です。
在宅医療と地域連携の促進
在宅医療の拠点となる病院や診療所に対しては、災害時にも業務を継続するための計画作成を求める施設基準の要件変更が行われます。さらに、人口の少ない地域では、診療所と連携して緊急入院が必要な患者の受け入れや、診療所への医師の臨時派遣などを行った病院に報酬を上乗せする仕組みも設けられました。これらの措置は、地域医療の安定化とアクセスの向上を目指すものです。
診療報酬の基本概念
診療報酬とは、医療機関や薬局が医療サービスの対価として受け取る報酬であり、原則として2年に1度見直されます。国が定める公定価格で、手術や検査などの医療行為ごとに点数が決められ、1点10円で計算されます。患者は原則として1割から3割を負担し、残りは公的医療保険で賄われます。この制度は、国の政策を医療機関に誘導する手段としても機能しており、今回の改定を通じて、医療現場の課題解決と社会全体の健康維持が図られています。