マンU共同オーナーの移民「植民地化」発言に英首相らが強く非難
世界有数のサッカークラブ、英マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の共同オーナーが移民を敵視するような発言を行い、英国政界やサッカー界で大きな波紋が広がっている。問題の発言は、2024年から共同オーナーを務める実業家のジム・ラトクリフ氏(73)によるものだ。
「英国は移民によって植民地化されている」と二度にわたって主張
ラトクリフ氏は2026年2月11日に放送された英スカイのインタビュー番組に出演し、移民問題について言及した。その中で、移民の増加によって英国経済が圧迫されているとの見解を示し、「英国は移民によって植民地化されている」との表現を二度にわたって使用したのである。
この発言は即座に反響を呼び、特にサッカーファンとしても知られるキア・スターマー英首相が強く反応した。スターマー首相は同日中にソーシャルメディアを通じて、「不快で、誤っている。英国は誇り高く、寛容で、多様な国だ」と明確に反論。さらにラトクリフ氏に対して謝罪を要求する姿勢を示した。
マンチェスター・ユナイテッドも声明を発表
クラブ側もこの事態を重く受け止め、公式声明を発表した。声明では「包括的で、誰もが歓迎される環境を大切にしている」というクラブの姿勢を強調し、ラトクリフ氏の個人的見解とは距離を置く意向を示している。世界的なサッカークラブの共同オーナーが移民問題についてこのような発言を行ったことは、クラブのイメージにも影響を与えかねない状況だ。
ラトクリフ氏は2023年3月にマンチェスターのスタジアム「オールド・トラフォード」で撮影に応じる姿が確認されており、サッカー界での存在感を増していた矢先の出来事となった。実業家として化学工業会社インエオスを創業し、英国の産業界でも著名な人物であるだけに、その発言の影響力は小さくない。
英国社会における移民問題の複雑な背景
この発言が注目を集める背景には、英国社会における移民問題の複雑な状況がある。近年、移民の増加に伴う経済的・社会的な影響についての議論が活発化しており、政治的な対立の火種となるケースも少なくない。ラトクリフ氏の発言は、こうした社会の分断をさらに深める可能性があるとして懸念する声も上がっている。
スターマー首相が即座に反論したことからも、移民問題が英国政治において極めてセンシティブなテーマであることが改めて浮き彫りになった。首相は「寛容で多様な国」という英国のアイデンティティを守る姿勢を明確に打ち出し、ラトクリフ氏の発言を強く否定したのである。
今後の展開としては、ラトクリフ氏がスターマー首相の要求に応えて謝罪するかどうかが焦点となる。また、マンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーとしての立場に影響が出る可能性も排除できない。世界的なスポーツ組織のリーダーが社会的・政治的な発言を行う際の責任について、改めて問い直す機会となるかもしれない。