夏本番を目前に控え、熱中症を防ぐためのさまざまな製品が相次いで販売されている。猛暑対策グッズは店頭に並ぶだけでなく、企業向けの販売も拡大している。今年の夏は平年より暑い日が多いと予想され、さらに職場での対策強化を促す法改正も背景にある。
店頭に並ぶ猛暑対策グッズ
ハンズ心斎橋店(大阪市中央区)では、猛暑対策グッズを集めた特設コーナーが設置され、服に貼る瞬間冷却剤や水を噴霧できるスプレー一体型の氷のうなどが販売されている。このコーナーは例年より約1カ月早い4月中旬から設置され、今年は男女向けのフェースカバーやアームカバーの品ぞろえを充実させた。
4月に施行された改正道路交通法により、自転車の傘差し運転が「青切符(交通反則切符)」の交付対象となったことで、日よけアイテムへの注目が集まっている。品定めをしていた大阪市西区の会社員女性(50)は「傘を差しながらの運転ができなくなったので、直接身につける日よけアイテムを買いたい」と話した。
販促担当の森岩小織さんは「暑くなり始めるのが年々早くなり、今年も対策グッズの売れ行きは好調だ」と説明する。
気象予報と暑さの本格化
気象庁が5月に発表した3カ月予報によると、6~8月の平均気温は全国的に平年より高くなる見込み。6月1日に真夏日を観測した全国の地点数は392で今年最多となり、暑さが本格化している。
過酷な現場向けの製品
高温環境下で働く人の熱中症を防ぐ製品を販売する動きも相次いでいる。昨年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、職場での熱中症対策が求められているためだ。
機械商社の山善(大阪市)は4月、遮光率99.99%の生地を使った「熱中対策シェルター」を発売。工具なしで簡単に設営や片付けが可能で、スポットクーラー(別売り)と併用すれば一時的に涼しい空間を提供できるという。
剛建築(愛知県阿久比町)は昨年6月、「背負えるエアコン」と題した冷媒を使用した空調作業服「Cool Bag」を発売した。これまで同社の建設現場ではファン付きの空調服を使用していたが、屋外の高温の現場では効果が薄かった。そのため、奥谷剛代表は中国の企業で製造されていた製品に改良を加えて日本で初めて販売。工場からの引き合いが多いという。
税込み11万8000円と高価だが、奥谷代表は「過酷な現場は、個人での防衛でしのげる暑さではない。人一人の命を守る対価と考えてほしい」と説明する。
専門家の見解
ニッセイ基礎研究所の篠原拓也主席研究員は「熱中症対策は、こまめな水分補給など個人の努力に加え、行政や企業も責任を持って、働き方を見直したり、環境整備したりする必要がある」と指摘する。



