福岡市、副首都指定へ本格始動
首都機能をバックアップする「副首都構想」を巡り、福岡市の動きが急速に活発化している。自民党と日本維新の会が3月末に合意した関連法案の骨子案では、東京23区のような特別区設置を必須要件としない方針が示され、指定へのハードルが大幅に低下した。これを受け、福岡市はプロジェクトチーム(PT)を設置するなど、指定獲得に向けた準備を本格化させており、先行して検討を進めてきた大阪の関係者もその動向を注視している。
市長、強い意欲を示す
福岡市の高島宗一郎市長は5月中旬の定例記者会見で、「このチャンスを取りにいこうと知事と話している」と述べ、副首都指定への強い意欲を表明した。高島市長は、福岡市が副首都に適している理由として、日本海側に位置し太平洋側で大地震が発生した場合でも東京や大阪との同時被災リスクが低いこと、国の出先機関が多く立地し代替機能を果たせる素地があることなどを挙げている。
福岡市は4月、副市長らで構成するPTを設置。これまでに3回の会合を開き、情報共有や課題の整理を進めている。PTの事務局担当者は「市だけでなく、県や九州全体の将来的な発展に寄与する大きなチャンスだ」と強調する。
連携協約方式が追い風に
関連法案の骨子案では、副首都指定を受ける方法として、維新の看板政策「大阪都構想」の前提となる政令市を廃止して特別区を設置する方式に加え、道府県と政令市が協力して取り組む「連携協約」を結ぶ場合も可能とされた。これにより、現状の行政体制を維持したまま名乗りを上げることができ、福岡市にとっては大きな追い風となっている。
北九州市と「3本の矢」で相乗効果
高島市長が「ライバルではなく仲間」と位置付けるのが北九州市だ。武内和久市長は5月中旬の会見で、「福岡は商都、北九州は工都という特性があり、タッグを組むことで相乗効果を生む」と述べ、福岡県と両市が連携し「3本の矢」となって指定を目指す考えを示した。
福岡県も副首都に関するPTを設置しており、服部誠太郎知事は「規制緩和や税制面での優遇に期待している」と強調。福岡の経済界関係者も「福岡市は人口増加に交通インフラの整備が追いついていないが、副首都になれば国の支援も期待できる」と話す。
熊本県は応援に回る
半導体関連企業が集積する熊本県も副首都に意欲を示していたが、木村敬知事は4日の会見で、「九州内で足を引っ張り合うことがないよう、福岡が指定されるように応援したい」と述べ、熊本県としては指定を目指さない考えを示した。
名古屋市も意欲、大阪は警戒
全国では、名古屋市も副首都に意欲を見せている。市は東京に近く、災害時に復興を担いやすい点などを強みとして挙げており、広沢一郎市長をトップとする会議を設置し、大阪や福岡の動向を確認しているという。
一方、大阪府では吉村洋文知事(維新代表)が3度目の「大阪都構想」の住民投票実施に向けた動きを加速させている。吉村知事が目指す特別区設置は政令市の廃止を伴うなど時間がかかるのに対し、福岡が狙う連携協約は市を廃止する必要がなく、「特別区設置より早く副首都に指定される可能性がある」(維新国会議員)との指摘がある。維新の大阪市議団からは「福岡に先行されるのは避けたい」との声も上がっている。



