韓国・大邱で保守党員が大量離党、保守地盤に異変 地方衰退と戒厳問題が背景
韓国・大邱で保守党員が大量離党、保守地盤に異変

激戦地・大邱、野党牙城で相次いだ造反の背景 揺らぐ韓国保守の足元

韓国の李在明(イジェミョン)大統領は4日、就任1年を迎えた。革新系でありながら理念に縛られない「実用主義」を掲げる李氏の支持率は高く、3日に投開票された統一地方選では与党「共に民主党」が全国的に優位に立った。一方、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領による「非常戒厳」宣言の後遺症で、保守系最大野党「国民の力」は混迷を深めている。順調に見える政権運営の光と影を探る連載の中編として、保守の牙城・大邱で起きた異変を報告する。

保守の心臓・大邱、市長選は保守候補が勝利も足元に異変

ソウルから南東に約200キロの大邱(テグ)は、故朴正熙(パクチョンヒ)元大統領の地元であり、「保守の心臓」と称される。3日の統一地方選で行われた大邱市長選では、保守系野党「国民の力」の秋慶鎬(チュギョンホ)氏が、革新系与党「共に民主党」の金富謙(キムブギョム)氏を8ポイント以上の差で破った。2024年12月の尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言時に与党だった国民の力が全国的に苦戦する中、保守地盤の強固さを示す結果となった。

しかし、足元では異変が起きていた。5月10日、大邱市内で国民の力の党員1325人が一斉に離党。金氏への支持を表明する記者会見を開き、「保守の名のもとに保守を裏切る政治に、これ以上従わない」と党執行部を批判する宣言を読み上げた。離党の動きはこの日だけで終わらず、金氏陣営によると大邱では計3000人以上が国民の力を離れた。

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地方衰退と戒厳問題が引き金に

1995年に首長公選制が導入されて以降、大邱では一貫して保守系の市長が選出されてきた。人口はソウル、釜山、仁川に次ぐ大都市でありながら、1人あたりの域内総生産(GRDP)は全国の広域自治体で最下位。若者の流出が続き、地方衰退の最前線に立たされている。元国民の力国会議員で、金氏支持に回った姜孝祥(カンヒョサン)氏(65)は「大邱は放置されてきた」と指摘する。

地域経済の起爆剤として期待される空港移転計画や、隣接する慶尚北道との統合構想についても、「中央政府との関係が良くなければ実現できない」と姜氏は語る。革新系の李在明政権下で地元の課題解決を目指すため、金氏を支持した理由を挙げ、「秋氏では困る」と断言した。

秋氏は尹氏による戒厳時の党ナンバー2であり、国会の戒厳解除要求決議を妨害したとして、内乱罪の特別検察官により昨年12月在宅起訴された。国民の力は、尹氏の弾劾に反対する張東赫(チャンドンヒョク)代表ら強硬派と、戒厳に批判的な韓東勲(ハンドンフン)前代表らの対立で分裂状態にある。姜氏は「尹氏の戒厳はクーデターだった。『ダメだ』という点に異論の余地はないはずだが…」と嘆く。

強硬派の間でくすぶる「不正選挙」説

強硬派の間では、戒厳を正当化する根拠の一つとされた2024年総選挙の「不正選挙」説が今もくすぶる。保守の論客として著名なジャーナリスト、趙甲済(チョガプチェ)氏は不正選挙説を「陰謀論」と切り捨て、「国民の力の候補に投票すれば、極右派の現執行部の勢力が強化されるという『常識的保守』層の悩みが最も深いのが大邱だ」と分析する。

金氏の惜敗に終わった大邱市長選から一夜明け、姜氏は「奇跡は起きなかったが、意味ある結果だった」と振り返る。同時に行われた国会議員補欠選挙の釜山選挙区では、張執行部と対立した末に無所属で出馬した韓氏が当選。今後、保守再編の軸になる可能性もある。

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「今も保守主義者」と自任する姜氏は、保守の牙城である大邱で起きた造反の動きを「既存の保守に対する反省と再建を求める熱望」だと捉える。「たとえ負けても、韓国の政治史に重要な意味を持つはずだ」と述べている。