製紙大手の王子ホールディングス(HD)は、2026年4月以降に入社する新卒および中途採用の社員を対象に、従来の退職一時金制度を廃止し、その分を毎月の給与に上乗せする新たな報酬制度を導入した。同社はこの変更により、若年層の労働意欲向上や定着率改善につながると期待している。
制度変更の背景
王子HDのこれまでの退職給付制度は、退職一時金と確定拠出年金がそれぞれ50%ずつで構成されていた。特に勤続15年程度を経過すると退職金が大きく増額される仕組みだったが、同社の中途採用比率はすでに5割に達しており、長期勤続を前提とした従来の制度では十分な恩恵を受けられない社員が増加していた。
また、終身雇用や新卒一括採用を前提とした退職金制度自体の魅力が薄れているとの判断もあり、今回の制度見直しに踏み切った。これは大企業の雇用慣行に一石を投じる試みといえる。
新制度の概要
新制度では、廃止された退職一時金相当額を毎月の給与に上乗せして支給する。社員はこのほか、会社が拠出する確定拠出年金の掛け金を増額する選択肢も選べるようになっている。
同社は、給与への上乗せにより、若い世代のモチベーション向上や、他社との人材獲得競争での優位性確保を狙う。
業界への波及
ゲーム大手のセガサミーホールディングスも、2023年から社員が退職金の前払いを選択し、給与に上乗せできる制度を導入している。王子HDの取り組みが他の大企業にも波及し、退職金制度の見直しがさらに広がる可能性がある。



