高市早苗首相(自民党総裁)が2026年度内の実施に強い意欲を示している食料品の「消費税ゼロ」政策。超党派の「社会保障国民会議」で検討が進められているが、これまでの関係団体へのヒアリングでは、実現に向けて複数の大きな課題が浮き彫りになっている。本稿では、それらの課題と今後の展望を詳しく解説する。
課題1:レジ改修に要する時間
年度内実施に向けた最大のハードルは、システム改修にかかる時間だ。レジシステムを手がける大手企業によると、税率をゼロに設定する場合、全国の小売店でレジのプログラム変更やテスト運用が必要となり、最短でも1年程度はかかると見込まれている。ただし、与党内では「消費税1%」という代替案も浮上しており、その場合、改修期間が短縮される可能性も指摘されている。
課題2:5兆円の財源確保
消費税収のうち食料品分は年間約5兆円と試算される。この穴をどう埋めるかが最大の論点だ。国民会議では、国債発行や他の税目での増税、あるいは歳出削減などが議論されているが、容易な解決策は見つかっていない。市場関係者も注目する中、財源論は今後の政局を左右する可能性がある。
課題3:外食業界の扱い
外食業界は「消費税ゼロ」の対象に含まれるよう強く求めている。新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けた飲食店は、テイクアウトと店内飲食で税率が異なる現行制度の複雑さを問題視。しかし、対象拡大はさらに巨額の財源不足を招くため、慎重な判断が求められる。
課題4:価格転嫁の不透明さ
仮に消費税がゼロになっても、小売業者が価格を下げなければ、消費者への恩恵は限定的となる。過去の軽減税率導入時も、価格転嫁が十分に進まなかった事例がある。農業団体などは、経営懸念から補助金や支援策を求めており、価格低下を確実にする仕組みづくりが課題だ。
今後の展望
国民会議の実務者会議では、システム改修や財源の具体的な議論が始まっている。与党内では「消費税1%」案も急浮上しており、レジ改修の負担軽減につながる可能性がある。首相は強い意欲を示すものの、課題は山積。年度内実施は依然として不透明だ。



