ゼブラフィッシュの小脳が危険と安全を見分ける仕組みを解明、名古屋大学など
ゼブラフィッシュ小脳の危険・安全識別機構を解明

名古屋大学などの研究グループは、ヒトと遺伝子の配列が似ている小型の淡水魚・ゼブラフィッシュの小脳が、「危険」と「安全」な状態を見分ける神経回路の仕組みを解明した。小脳は運動機能をつかさどることが知られているが、価値判断や意思決定に関わる役割も担うことを示した。この成果は、精神・神経疾患の理解や治療への応用が期待される。

VR環境を用いた実験で学習過程を可視化

研究グループは、理化学研究所の協力のもと、仮想現実(VR)環境下で魚の頭を固定し、泳いでいるかのように錯覚させて実験を行った。魚が「危険」を示す色の環境から「安全」を示す別の色の環境に移動するかを尾びれの動きで判断させ、10秒以内に安全な環境を選択できなかった場合、1秒間の電気ショックを加えた。実験中の神経細胞活動は、光で可視化する技術を用いて解析された。

小脳内に危険と安全を区別する細胞が形成

実験で電気ショックを避ける学習が進むと、小脳の中に「危険」を示す色の環境で活動が上昇する細胞と、「安全」を示す色の環境で活動が上昇する細胞がそれぞれ形成された。このことから、小脳が危険と安全という価値情報を区別して表現する神経回路を持つことが明らかになった。

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環境変化に応じて神経回路が柔軟に更新

さらに、危険と安全の色のルールを入れ替えて実験すると、それに応じて神経細胞の反応が変化し、環境に応じて柔軟に更新する能力があることも示された。これは、小脳が単なる運動制御ではなく、状況に応じた価値判断の柔軟性を持つことを示唆している。

精神疾患の治療への応用に期待

研究成果は、名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程(当時)の小山航さんらがまとめた。名古屋大学の日比正彦教授は、「小脳の機能異常と関連が指摘される自閉症や不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状の理解や新たな治療につながる可能性がある」と述べている。研究成果は5月30日、米科学雑誌に掲載された。

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