福井・大野市、中部縦貫道全線開通まで3年 観光振興の好機にできるか
福井・大野市、中部縦貫道全線開通まで3年 観光振興の好機に

福井県大野市は、中部縦貫自動車道の県内全線開通が2029年春に延期されたことを受け、観光振興の好機と捉え、準備期間としての3年間を有効活用しようとしている。同市は「星空の世界遺産」と呼ばれる「星空保護区」の認定や、道の駅「越前おおの荒島の郷」の整備、越前大野城のプロモーション、食べ歩きグルメの開発支援などに力を入れている。

星空保護区でアジア初の認定

大野市南六呂師エリアは、都市近くでも優れた夜空環境が守られている地域を対象とする「アーバン・ナイトスカイプレイス部門」で、2023年にアジアで初めて認定を受けた。このエリアでは、昨夏にキャンプ場「SORA to DAICHI」がオープンし、2日間の野外音楽フェスには延べ9千人が来場した。

新商品開発で「稼ぐ力」を強化

市は2024年度から、事業者の「稼ぐ力」を底上げする事業を開始した。今年5月には、ショッピングモール・ヴィオでユニークな新作商品のアイデアが紹介された。例えば、「六呂師高原の星や牛をかたどったクッキー」「地元食材にこだわった里芋コロッケ」「朝ラーメン」など、付加価値の高い土産物や食事メニューが開発中だ。県中小企業診断士協会の伴走支援を受け、20事業者が参加している。

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古民家カフェ「まちの駅 お清水」を運営する木下千鶴子さん(63)は、九頭竜まいたけのおにぎりや里芋煮を盛り込んだ「田舎のおにぎりランチ」をPRし、「観光客向けに大野を印象づけるメニューを考え、盛り付けも工夫した」と自信を見せた。

観光客の宿泊率はわずか4.2%

市の取り組みには一定の成果が見える一方、課題も多い。市観光交流課によると、2025年の観光客延べ194万7千人のうち、市内に宿泊したのはわずか4.2%。日帰り客の1人当たり観光消費額は4千円余りにとどまった。地域の観光収入を拡大するには、滞在時間を延ばす工夫や宿泊客の拡大が不可欠だ。2025年度末時点の宿泊施設は29施設で、収容可能人数は4382人。キャンプ場やゲストハウスは増えたが、十分とは言えない。

六呂師高原にある「ミルク工房奥越前」では、星空鑑賞がツアー客でにぎわうが、運営する「メンテナンスナカムラ」の中村圭吾社長(52)は「宿泊は勝山市、福井市が多い」と明かす。

官民一体でインバウンド誘致

大野商工会議所は今春、市内の事業者と連携し、台湾や欧米の富裕層向けの体験型宿泊プランを売り出した。民泊なども活用し、6泊7日で滞在費は1人当たり15~30万円。和泉地区でスキー場やキャンプ場を運営する「福井和泉リゾート」は、中京方面の営業やインバウンド誘致を強化する。巣守和義社長(58)は「大野にとっては新幹線よりも大きな追い風。行政が思い切って力を入れる姿勢を見せてほしい」と官民一丸の取り組みに期待する。

開通計画の遅れを準備の好機に変えられるか。残り3年は決して長くない。

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