岐阜の清流ハーフマラソンに挑む愛知の保育士 亡き両親への思いを胸に
高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンが4月26日、岐阜市内で開催される。長良川の清流に癒やされ、金華山の雄大な景色に背中を押されながら、約21キロのコースを走るランナーたち。その一人、名古屋市在住の保育士・川嵜千代子さん(59)は、今年で11回目の出場を迎える。
両親の眠る地で走る特別なレース
川嵜さんにとって、今年のレースは特別な意味を持つ。昨年末、母の大洞昌子さんが87歳で他界。さらに2年前には、同じく87歳で父の弘之さんを亡くしている。両親は現在、マラソンコースから車で数分の場所にある合葬墓に眠っている。
「走り慣れた長良川の景色が、今年はちょっと違って見えそうだ」と川嵜さんは語る。「2人のエールが聞こえてくるに違いない。祈りをささげる思いで、故郷を駆け抜けたい」。
岐阜への深い愛着とマラソンとの出会い
各務原市出身の川嵜さんは、岐阜市にある岐山高校時代を過ごし、29歳で結婚するまで岐阜で生活した。「岐阜はいつでも帰ってきたいと思える優しさにあふれている」と故郷への愛を語る。
マラソンとの出会いは約15年前。中学生になった長男が厳しい練習を伴う吹奏楽部に入部したことがきっかけだった。「自分もくじけずに何かを頑張る姿を見せて、息子の背中を押そう」と考え、友人たちとランニングを始めた。清流ハーフマラソンへの参加もこの時期からで、沿道からの声援と走り終えた後の達成感にすっかり魅了された。
母の昌子さんがサプライズで沿道まで応援に来てくれたこともあったという、温かい思い出も残っている。
マラソンが深めた家族の絆
昌子さんが亡くなった頃、弘之さんの墓じまいも行うことになり、両親の納骨先として見つけたのが金華橋近くの合葬墓だった。「運命だと思った」と川嵜さんは振り返る。
この出来事がきっかけとなり、関東に住む姉と弟も来年から一緒に清流ハーフマラソンを走ってくれることになった。年に一度、一家が再会する貴重な場となりそうだ。
保育士としての日々と心の支え
勤務先の保育園では、園長に次ぐ主任保育士として園を取りまとめる重責を担う川嵜さん。そんな日々の心の支えが両親だった。
「実家に帰ると、いつも『よく頑張ってるね』と褒めてくれた。親にとって、子はいつまでも子なんだなと感じていた」と懐かしむ。
優しかった両親は旅立ったが、「悲しいけど、マラソンを通じて家族の絆が深まり、前を向けている」と前向きに捉える。
走る姿で伝えたいメッセージ
川嵜さんは、両親に間近で走る姿を見せて伝えたいことがあるという。「私は変わらず頑張っているよ」というメッセージだ。
岐阜の地を駆け抜けるその足取りには、亡き両親への感謝と愛情、そして家族の絆への確かな思いが込められている。清流ハーフマラソンは、単なるスポーツイベントではなく、川嵜さんにとって人生の節目を刻む特別な舞台となっている。



