「ゾンビたばこ」密輸事件で台湾籍の男を現行犯逮捕 警視庁が国際組織の動向を注視
警視庁は2026年4月21日、指定薬物エトミデート(通称・ゾンビたばこ)をマレーシアから密輸したとして、台湾籍の無職、陳建国容疑者(64)=住居不定=を医薬品医療機器法違反などの疑いで現行犯逮捕したと発表しました。容疑者は一部の容疑を否認しており、「ビンの中身がエトミデートとは知らなかった」と供述していると伝えられています。
巧妙な隠蔽工作と国際的な密輸ルートの疑い
逮捕容疑は、19日にマレーシアのクアラルンプール国際空港から、エトミデートを含む液体が入ったビン(約1.5キロ)をスーツケースに隠して羽田空港に密輸したというものです。ビンにはココナツオイルなどと偽装表示がされていたとされ、巧妙な隠蔽工作が行われていました。
容疑者の供述によると、SNSで知り合った男に「お金がほしい」と相談したところ、「外国に行き、人が買ったものを人に渡す仕事がある。5万台湾ドル(約25万円)を受け取れる」と案内されたという経緯が明らかになっています。このことから、国際的な密輸組織の関与が強く疑われています。
「ゾンビたばこ」の危険性と国内での乱用拡大への懸念
エトミデートは、過剰摂取すると手足のけいれんなどを引き起こす作用のある指定薬物で、その危険性から「ゾンビたばこ」とも呼ばれています。厚生労働省によると、海外では麻酔薬として使用されている医薬品成分ですが、国内では未承認であり、使用すると意識障害や呼吸抑制など重大な健康被害が生じる恐れがあります。
警視庁は今月16日にも、タイからエトミデートの結晶約4キロを密輸したとして、台湾籍の女性(50)を同法違反などの疑いで逮捕しており、摘発が相次いでいます。さらに、今年1月から2月にかけては、プロ野球・広島カープの元選手が自宅で使用したとして同法違反容疑で逮捕・起訴される事件も発生しており、国内での乱用の広がりに対する警戒感が高まっています。
国際組織による流通拡大の狙いと捜査の行方
警視庁薬物銃器対策課は、国際的な密輸組織が日本でのエトミデートの流通拡大を狙っている可能性があるとみて、捜査を進めています。今回の逮捕は、そのような組織的な活動の一端を明らかにするものとして注目されています。
当局は、以下の点を特に重視して捜査を継続しています:
- 密輸ルートの国際的なネットワークの解明
- 国内での流通経路と末端需要の実態把握
- 類似事件の再発防止に向けた対策の強化
今回の事件は、薬物密輸が国境を越えた組織的な犯罪として進行している実態を浮き彫りにするとともに、未承認薬物による健康被害の拡大という深刻な社会問題を改めて提起するものとなっています。警視庁は今後も関係機関と連携し、国際的な捜査協力を強化しながら、薬物乱用防止に向けた取り組みを進めていく方針です。



