JR東海ツアーズ(東京)は、スポーツと連携した旅行商品の開発に注力している。同社は現在、サッカーJ1の清水エスパルスや、フィギュアスケート男子でミラノ・コルティナ五輪銀メダリストの鍵山優真選手のスポンサーを務めており、ファンの熱い応援気持ちを商品に反映させる取り組みを進めている。
鍵山優真選手とのファン交流イベント
4月末には、名古屋市内のホテルで鍵山選手とファンの交流会が開催された。参加者は一緒に写真を撮影したり、握手を交わしたりする機会を得た。普段はファンと直接触れ合う機会が少ない鍵山選手も、「楽しみで元気になる」と笑顔を見せ、ファンとの時間を喜んだ。
スポーツとの関わりの始まり
同社がスポーツと関わり始めたのは2023年。旅行パックの販売を店舗からウェブへ移行する過程で、「どうすれば多くの人に商品を届けられるか」という課題に直面した。その中で目を付けたのが、静岡市を本拠地とする清水エスパルスだった。
近年、「推し活」のためにライブ会場などへ遠征する人が増加している。推し活に関する調査によると、1回の遠征費は平均約6万円で、その半分が移動費に充てられている。多くのファンはグッズ購入費を節約するため、安価な夜行バスや自家用車を利用している。
そうした状況の中、アウェイの試合にも多くのファンが応援に駆け付けるエスパルスファンに向けて、2024年にスポンサー契約を締結。首都圏と静岡を行き来するファン向けに、新幹線と宿泊がセットになったパック商品を提供し、サポーター割引を実施した。新幹線を利用するほどお得になる仕組みで、最高で19回も利用したファンがいるという。担当者は「新幹線で遠征してくれる実感が肌で分かる」と手応えを語る。
体験型イベント列車の企画
さらに付加価値を高めるため、車両を貸し切ったイベント列車も企画。車内ではDJによる特別番組を放送するなど、「移動自体を体験として提供することで、価値を高めようと考えた」と振り返る。
新幹線利用の増加は、思わぬ副次的効果も生んだ。エスパルスのホームスタジアムであるIAIスタジアム日本平(静岡市)周辺は駐車場が少なく、路上駐車が問題となっている。同社のプランを利用したファンを対象に、会場から静岡駅までのバスを提供することで、この問題解決の一助となっている。
鍵山優真選手とのコラボレーション
2025年には鍵山選手ともスポンサー契約を結び、ファンと直接交流できるイベントを開催。2回目となる今年は、鍵山選手の直筆の手紙などが展示されたホテルのコラボレーションルームも企画した。交流会を通じて、ファンの思いを直接選手に届けることができたという。フィギュアスケートの場合、特定の選手だけでなく、幅広く選手を応援するファンも多いことから、「JR東海ツアーズがフィギュアスケートを応援しているという認知が広がれば」と期待を寄せる。
今後の展望
東海道新幹線の沿線には多くのスポーツ施設が点在する。「ファンの熱量を運ぶお手伝いができたら」と、同社は今後もスポーツとの関わりを強化していく意向だ。



