小野光希、憧れの舞台で銅メダル レジェンドの言葉が導いた勝利
ミラノ・コルティナオリンピックのスノーボード女子ハーフパイプで、小野光希選手(21)が見事な銅メダルを獲得した。この輝かしい成果の背景には、女子スノーボード界のレジェンドである竹内智香選手(42)からの一言が深く関わっている。中学1年の時に受けた「出るだけでいいの?」という問いかけが、小野選手の意識を大きく変え、メダルへの道を切り開いたのだ。
完璧な演技で最高点をマーク
決勝1回目、小野選手はお守りを忍ばせた左胸をたたき、空を見上げて深呼吸。いつものルーティンで気持ちを落ち着かせた後、横3回転や後ろ向き回転などの大技を完璧に決め、85.00点という自身の最高点をたたき出した。決勝は3回の演技のうち最高点で争われるため、3回目を終えた後は祈るような気持ちで後続の選手たちの滑りを見守った。銅メダルが確定した瞬間、彼女はしゃがみ込んで感極まった。
バンクーバー五輪に夢中になった少女時代
埼玉県吉川市出身の小野選手は、姉を追って3歳頃から雪山で滑り始めた。2010年、幼稚園児だった彼女はテレビで観たバンクーバー五輪のハーフパイプに魅了され、何度も録画を見返して滑走順や技を覚え、母親に解説するほど熱中した。卒園式では「大きくなったらオリンピック選手になりたい」と夢を語り、小学校の卒業文集にもその思いを綴っている。
負けず嫌いな性格で、学校のマラソン大会では1位、硬筆大会では金賞を取らなければ気が済まなかった。小学4年で初めて出場した全国大会出場権がかかるハーフパイプ大会で思うような結果が出ず、闘争心に火がついた。週末は練習場に通い、営業時間の終了間際まで練習を続ける日々が始まった。
竹内智香選手との出会いが転機に
中学1年の時、トップ選手が子供たちにアドバイスを送るテレビ番組の収録で、竹内智香選手と出会った。14年ソチ五輪の銀メダリストから滑り方のコツを教わった後、今後の目標を「オリンピックに出ること」と答えると、竹内選手は「出るだけでいいの?」と問いかけた。この一言に小野選手はハッとさせられ、「出るだけじゃだめだ。メダルを取らなきゃ」「次は金」と心に誓った。
北京五輪での挫折と再起
17歳で初出場した22年の北京五輪では大技に挑戦したものの、転倒して9位に終わり、しばらく落ち込んで家に引きこもった。それでも、「二度とあんな思いはしたくない」と気持ちを奮い立たせ、早稲田大学に通いながら学業と競技の両立を図った。23年の世界選手権で銅メダルを獲得すると、竹内選手からSNSを通じて「おめでとう。頑張ったのが報われて感動した」というメッセージが届き、自分の努力を見てくれる人がいることに勇気づけられ、練習にさらに励む原動力となった。
レジェンドからのバトンを受け継いで
今回の五輪で引退する竹内選手は、「小野選手の活躍で多くの子供が夢や希望を受け取ると思う」と期待を寄せている。小野選手は「次のゴールは金メダル。もっと良い結果を出すためにベストを尽くしたい」と語り、夢をかなえたメダリストとして、レジェンドからしっかりとバトンを受け取った。彼女の成長物語は、スポーツの世界で続く新たな伝説の始まりを告げている。