愛媛県が南海トラフ地震の新被害想定を発表、死者数は最大1万2750人と国想定から半減
南海トラフ地震の新想定、愛媛の死者数は国より半減

愛媛県が南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を公表、死者数は国想定から大幅に減少

愛媛県は2月16日、南海トラフ巨大地震が発生した場合の新たな被害想定を発表しました。それによると、死者数は最大で1万2750人(災害関連死を除く)に上ると推計されました。この数字は、国が昨年3月に公表した想定の約2万4千人から、ほぼ半分に減少する結果となりました。

詳細な調査データと避難意識の向上が要因

今回の想定見直しの背景には、詳細なボーリング調査のデータ分析が大きく寄与しています。それにより、震度6強以上の揺れが予想される地域の面積が従来よりも縮小したことが判明しました。この結果、建物の倒壊や火災による被害が減少すると推計されました。

さらに、県が実施した県民アンケートでは、津波からの早期避難に対する意識が高まっていることが明らかになりました。国の想定では、揺れが収まった直後に避難を開始する「直後避難」を行う住民の割合を20%と見込んでいました。しかし、アンケートでは45.6%の住民が直後避難をすると回答し、実際の避難行動がより迅速になると予想されました。この避難意識の向上が、津波による犠牲者数を国よりも少なく見積もる要因となりました。

死者数の内訳とその他の被害想定

新たな想定における死者数の内訳は、以下の通りです。

  • 津波による死者:9313人
  • 建物倒壊による死者:3236人
  • 土砂災害による死者:124人
  • 火災による死者:77人

これとは別に、災害関連死として最大3602人が発生する可能性があるとしています。災害関連死とは、直接的な被害ではなく、避難生活のストレスや健康悪化など間接的な要因による死亡を指します。

建物被害については、全壊または焼失する建物が最大約12万6000棟に上ると試算されています。また、避難者数は41万3158人と予想され、大規模な避難生活が長期化することが懸念されます。

中村時広知事のコメントと今後の備え

中村時広知事は16日の記者会見で、今回の想定について言及しました。知事は「南海トラフ地震を正しく恐れ、備えをわがこととして進めてもらいたい」と述べ、住民一人ひとりが防災意識を高め、具体的な対策を講じることの重要性を強調しました。

この新たな想定は、より精緻なデータに基づく分析と、住民の防災意識の変化を反映したものです。しかし、死者数が減少したとはいえ、依然として甚大な被害が予想されることに変わりはありません。愛媛県では、引き続き防災対策の強化や避難計画の見直しを進め、災害に強い地域づくりを推進していく方針です。

南海トラフ巨大地震は、近い将来の発生が懸念される大規模災害です。今回の想定見直しを機に、行政だけでなく、企業や家庭レベルでも防災対策の再点検が求められています。日頃からの備えが、いざという時の命を守ることに直結することを改めて認識する必要があるでしょう。