ノリ不作続き「ノリなしおにぎり」増加…佐賀が日本一奪還も環境改善は不十分
ノリ不作で「ノリなしおにぎり」増加 佐賀が日本一奪還も課題

国内最大の養殖ノリ産地である有明海で、不作に悩まされてきた佐賀県が4年ぶりに販売枚数・金額とも日本一を兵庫県から奪還した。関係者は胸をなで下ろすが、海の環境が大きく改善したわけではない。来季に向けて期待と不安が交錯している。

日本一奪還を祝う一方、環境課題は残る

5月30日、佐賀県有明海漁協の直販所「まえうみ」(佐賀市)で感謝祭が開催され、「祝佐賀海苔(のり) 再び日本一、2冠達成!」のパネルが掲げられた。店内には多くの客が詰めかけ、特設コーナーではノリの販売が行われた。買い物かご二つにノリを詰めた市内の70代女性は「値段は以前の何倍にもなったが、やはり佐賀ノリがいいと友人にも購入を頼まれた。孫は手巻きずしが大好きで、日本一に戻れて良かった」と語った。

2025年秋から2026年春にかけての今季、計10回の佐賀県産ノリの入札会で、販売枚数は約14億枚、金額は過去最高の285億円に達し、ともに日本一を達成した。種付け後最初に採取される「一番ノリ」では、最高級ブランドの「佐賀海苔有明海一番」も2年ぶりに出品された。

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佐賀ノリ専門店三福海苔(佐賀市)の川原崚専務は「営業で『日本有数』ではなく、自信を持って『日本一』と言えるようになる」と喜びを語る。三福海苔は、特に口溶けと風味が良い一番ノリにこだわり、ミシュラン三つ星の日本料理店やフランス料理店にも提供している。昨季は良質なノリの調達が難しく、一部商品の販売を断念した。今季は価格が高止まりする中、銀行から借り入れて2年分のノリの在庫を確保したという。

不作の背景と対策の効果

19季連続で日本一だった佐賀県は、2022~23年シーズンから3季続けて販売枚数が10億枚を切る不作に見舞われた。漁協は、今季は例年10月の種付けを海水温が十分下がる11月3日まで遅らせたのが功を奏したとみている。水温が高いとノリ芽がうまく育たないためだ。漁期は短くなるが、結果は吉と出た。

しかし、海の環境が良かったわけではない。漁協や県有明水産振興センターは、赤潮対策として交付金を活用しているが、その効果は不明確だ。全国のノリ生産量は1990年代の約100億枚から現在は半分程度まで減少しており、海水温上昇や栄養塩の不足が深刻な影響を与えている。

「ノリなしおにぎり」や韓国ノリ関連商品が増えている背景には、こうしたノリの不作がある。消費者からは「ノリの値段が高くなり、おにぎりにノリを巻かないことが増えた」との声も聞かれる。

来季への期待と不安

佐賀県の山口祥義知事は「日本一奪還は喜ばしいが、環境改善は道半ば。持続可能な養殖を目指す」と述べた。漁協の西久保敏組合長も「来季も安定した生産を続けられるか不安はある。しかし、漁師たちの努力と技術で乗り越えたい」と語る。

今季の好調を受け、一部の漁師は来季に向けて種付けの時期や方法をさらに工夫しようとしている。しかし、地球温暖化の影響で海水温の上昇は避けられず、長期的な対策が求められる。

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