静岡市北部の山間地・井川地区に至る県道トンネルの開通が、当初予定より3年以上遅れ、2031年10月にずれ込むことが、JR東海への取材で分かった。掘削時に自然由来の重金属を含む「要対策土」が想定以上に発生し、その置き場が確保できていないことなどが理由とされる。
トンネル工事の現状と遅延の原因
このトンネルは県道三ツ峰落合線に接続し、玉川地区と井川地区を結ぶ約4.7キロメートルの区間である。生活道路として利用されるほか、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事(静岡市葵区)で資材運搬車両の通行路としても期待されている。
JR東海によると、2024年9月に本体工事が着工され、玉川側から掘削が進められている。しかし、5月22日時点で掘削進捗はわずか220メートルにとどまっている。当初は2028年3月の開通を予定していたが、大幅な遅れが生じている。
遅延の主な原因は、掘削時に発生する自然由来の重金属を含む「要対策土」が予想を上回る量に達したことだ。この土壌の適切な処理場所が確保できていないため、工事が停滞している。
発生土の処理計画と課題
静岡市によると、トンネル工事で生じる発生土は、井川ダム近くの井川久保山と井川西山平に各10万立方メートル、落合川島に6万立方メートルを置く計画だが、土地の取得がまだ完了していない。現在はJR東海が県外へ要対策土を搬出しているが、コストと時間がかかっている。
リニア中央新幹線の静岡県内着工の前提条件である、県とJR東海による環境保全に関する対話はすでに完了している。難波喬司静岡市長は22日の定例会見で、「リニア本体工事のためにも、トンネル工事を早く進めてほしい」と要請。現在の掘削速度は1日約1メートルで、「このスピードだと10年くらいかかってしまう」と懸念を示し、市として要対策土の置き場確保に協力する考えを表明した。
開通後の効果とこれまでの経緯
静岡市は2018年6月、建設費全額140億円をJR東海の負担で整備する合意を交わしている。現在、同区間は約14キロメートルの峠道を車で25分かけて通行する必要があるが、トンネル開通後は約5キロメートル、所要時間5分間に短縮される見込みだ。
トンネル工事の遅延は、地域住民の生活やリニア工事の物流に影響を及ぼす可能性がある。市とJR東海は早期の解決を目指し、連携を強化している。



