「さよなら原発」Tシャツで入廷止められた女性「理不尽」 福岡高裁
「さよなら原発」Tシャツで入廷止め 福岡高裁

福岡高裁・地裁(福岡市)が2023年、傍聴に訪れた人が着用していたTシャツのメッセージを理由に、入廷を一時的に引き留めていたことが明らかになった。福岡県弁護士会は今年3月、人権侵害の可能性があるとして再発防止を求める要望書を福岡高裁に提出した。

女性が語る経緯

福岡市に住む88歳の女性は、2023年10月4日と6日、玄海原発(佐賀県)に関する訴訟など三つの裁判を傍聴するため、福岡高裁・地裁の庁舎を訪れた。

女性によると、背中側に「GOODBYE NUKES さよなら原発」と書かれたTシャツを着ていたことで、正面玄関の所持品検査で警備員や職員から制止された。このTシャツは、福島の原発事故があった2011年に福岡市内で開かれた抗議活動を機に購入したもので、これまでも複数回着用していたが、引き留められたのは初めてだったという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

職員からは「政治的メッセージが書いてある」として、脱ぐか隠すよう求められた。抗議の末、職員は「背中の文字だから裁判官には見えないので良しとします」と言い、傍聴は許可された。

同じような対応は計3回あったが、根拠を尋ねると「ない」と言われたという。その後、同じTシャツを着ていても引き留められることはなかったが、裁判所から納得できる説明は得られていない。

女性は取材に対し、「表現の自由は憲法で守られている権利なのに、理不尽だと感じた」と語った。

弁護士会の見解

女性から2023年11月に人権侵害救済の申し立てを受けた県弁護士会が調査。高裁は女性を引き留めた理由について、取材に「来庁者との個別のやりとりについては回答を差し控える」と回答した。

一方、高裁庁舎では最高裁が定める庁舎管理規程を根拠に「はちまき、ゼッケン、たすき、その他これに類するものを着用しないこと」としている。高裁によると、この規程の目的は「裁判所における秩序を維持するため」だという。

しかし、県弁護士会は問題となったTシャツについて「法廷秩序や中立性が損なわれる具体的危険も認め難い」と主張。傍聴の可否は裁判を担当する裁判官が判断すべきで、入庁時に職員が引き留めた行為は庁舎管理権の裁量を逸脱していると指摘。裁判の公開原則に反し、女性の傍聴権や表現の自由を侵害するおそれがあったとしている。

要望書を受けた福岡高裁は取材に対し、「回答を差し控える」としている。

過去の服装制限事例

裁判所での服装制限は過去にも問題となっている。2023年には、レインボーカラーの靴下を履いて傍聴しようとした人が入廷を拒否された事例があり、同様に表現の自由と裁判所の秩序維持のバランスが問われている。

今回のケースでは、Tシャツのメッセージが「政治的」と判断された点が焦点となった。弁護士会は、裁判所が特定の政治的主張を理由に傍聴を制限することは、憲法で保障された表現の自由や知る権利を損なう恐れがあると警鐘を鳴らしている。

女性は「裁判所こそ公正であるべき場所。今後も納得いく説明を求める」と話しており、今後の対応が注目される。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ