東京都千代田区に本社を置くランドセルメーカー「協和」は、障がいのある子どもたちのために完全受注生産のユニバーサルランドセルを手がけている。どんな注文も絶対に断らないという同社の哲学は、創業者の戦争体験に端を発する。坂本光司氏(人を大切にする経営学会会長)が同社を訪れ、その取り組みを紹介する。
障がいのある子向けに完全受注生産
協和は業界に先駆けてユニバーサルランドセルの製造を開始。通常のランドセルを背負えない子どもたちのために、さまざまな工夫を凝らした手づくり品を提供している。完全受注生産で年間200~300件を受注し、通常品とほぼ変わらない価格(約6万円)で提供し続けている。
両肩がない子のためのたすき掛けランドセル
忘れられない注文がある。「生まれつき両肩がない子でも背負えるものを」という依頼だ。営業職員は何度も電話で確認しながら段ボールで上半身の模型を作製。工場に持ち込まれ、職人が精魂込めてたすき掛けのベルトで背負う世界に一つだけのランドセルを完成させた。
業界最軽量品の開発
「ランドセルは重い」という通説を覆すため、業界最軽量の約880グラムのランドセルも開発。子どもたちの負担を減らすために、常に革新を追求している。
震災復興支援と社員第一主義
東日本大震災では、ランドセルを失った子どもたちのために中古ランドセルを募り、2万点を修理・磨き上げて現地に届けた。また、社員第一主義を掲げ、定年を廃止。70代、80代の社員も活躍し、「辞めたいと思った時が定年」という方針を貫いている。
未来へつなぐタイムレター
同社は、ランドセル購入者向けに「未来へつなぐタイムレター」サービスも提供。小学校入学から1000日目、3年生になった児童に家族からの手紙を届ける。考案した皆川京子広報室長は「ギャングエージと呼ばれる時期に愛情を届けたい」と語る。
坂本氏は「人の優しさは涙の量に比例する」と述べ、同社の取り組みを高く評価している。



