福岡県警は5日、医師免許を保有していないにもかかわらず、出産中の女性に対して腹部を押す医療行為を行わせたとして、福岡市中央区の産婦人科クリニックを運営する医療法人の理事長(70歳代)と、同クリニックに勤務していたペルー国籍の男(60歳代)を医師法違反の疑いで福岡地検に書類送検した。両名に対しては、起訴を求める「厳重処分」の意見が付されている。
事件の概要
捜査関係者によると、男は2023年、同クリニックにおいて、医師免許を持たないにもかかわらず、分娩中の女性の腹部を押圧するなどの医療行為を実施した疑いが持たれている。理事長は、男が医師免許を有していないことを認識しながら、こうした医療行為を指示・許可した疑いで告発された。県警は両名の容疑認否について明らかにしていない。
クリニック側の対応
同クリニックは5日、理事長名義でコメントを発表し、「本件を厳粛に受け止めており、今後の捜査に全面的に協力する」と述べた。クリニックは現在も診療を継続しているが、今後の行政処分の行方が注目される。
医師法違反の法的な意味
医師法第17条は、医師免許を持たない者の医業を禁止している。違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される。また、免許を持たない者に医療行為をさせた者も同罪とされる。今回の事件では、理事長が無資格者に医療行為をさせた点が特に問題視されている。
産科医療では、分娩時の腹部圧迫(いわゆる「圧迫法」)は、医師や助産師などの資格を持つ医療従事者にのみ許される行為であり、無資格者が行うと母子に危険を及ぼす可能性がある。今回の事件では、実際に母子に健康被害が生じたかどうかは明らかにされていないが、県警は重大な法令違反と判断した模様だ。
今後の捜査と影響
福岡地検は、書類送検を受けて起訴・不起訴を判断する。今後、両名の事情聴取や証拠の検討が進められる見通し。この事件は、無資格医療行為の危険性を改めて浮き彫りにし、医療現場における資格確認の徹底が求められる契機となりそうだ。



