ケアラー支援の新たな取り組み
全国の市区町村で初めて「ケアラー支援条例」を制定した北海道栗山町では、ケアラーの心身の状態を評価するアセスメントを導入し、他の自治体からも注目を集めている。推進役の一人である町社協ケアラー支援室参与の吉田義人さん(77)は、ケアラー自身が健康や悩みを後回しにしがちであることから、予防的な支援の重要性を強調する。
訪問による継続的な支援
町社協のケアラー支援専門員、高橋みはるさん(68)は5月、軽度の認知症とがんを患う夫(89)を介護する女性(85)の自宅を訪問。女性は「どこに行くにも一緒ですよ」と笑顔を見せたが、高橋さんは2年前から毎月1回、健康状態や生活状況を確認するため訪問を続けている。変化を感じた際には、町独自の調査票「ケアラーアセスメント・サポートシート」に記入し、必要に応じて医療機関の受診を勧めるなど、ケアラー本人に焦点を当てた支援を行っている。
アンケート調査が示した実態
町社協が本格的にケアラー支援に乗り出したきっかけは、2010年に実施したケアラー実態調査だ。町内全6104世帯を対象とした調査では、約15%にあたる約900世帯にケアラーがいることが判明。さらに、その6割が心身の不調を訴えていた。特に印象的だったのは、末期がんで歩行困難な妻を介護していた70代男性の声だ。「精神的にも体力的にも限界です。助けてください」というその訴えは、支援のあり方を見直す契機となった。
吉田さんは「介護保険サービスを充実させればケアラーも楽になると思っていたが、そうではなかった。対面で話を聞き、目に見えない内面の負担にも気づく支援が必要だ」と語る。栗山町の取り組みは、ケアラーの健康を守るためのモデルケースとして、今後も注目されそうだ。



