北海道の倶知安町で、シャッターが下りたままの店も目立つ地方の商店街の地価が、10年余りで7倍になっていた。衰退の危機にあった町で、地価が高騰を続けている。買っているのは、どうやら外国人らしい。誰が何のために?住民は警戒心とともに不安を募らせる。これまでこの町を救ってきたのは外国からの投資だった。でも、外国人が土地を買い続けると、自分たちの生活が脅かされるのだろうか。変化に直面する町を歩くと、様々な思いが交錯していた。
「土地が奪われる不安」を取り上げます
- 2億弱?高値で取引される商業地
- 不動産業者が明かす高騰の背景
- 違法開発に広がった不安
- 住民の割り切れない思い
札幌から列車で2時間ほど離れたJR倶知安駅。雪に覆われた美しい山々のふもとにある。北海道の道央に位置する倶知安町は、ニセコ連峰と羊蹄山に抱かれ、国際的なスキーリゾート地域「ニセコ」を構成する。普段は人口1万5千人ほど。だが、冬になると「パウダースノー」と呼ばれる良質な雪を目当てに、スキーやスノーボードを楽しむ人たちが世界中から訪れる。冬季の観光客は8割近くが外国人だ。外国人観光客数に宿泊数を掛け合わせた「外国人宿泊延数」は2024年度、統計を始めて最多の約63万3千を数えた。
「山」のリゾート地から始まった変化は、今やふもとに広がる「まち」のあり方にも及んでいる。「土地建物で2億円弱」という飛び交ううわさ。倶知安駅から、町役場のある中心部にかけての商業地では、近年、外国人とみられる買い手による高額取引が相次いでいる。不動産業者は「需要は衰えず、価格は上昇し続けている」と語る。背景には、世界的なスキーリゾートとしてのブランド力や、円安による割安感があるとみられる。
違法開発と広がる不安
地価高騰に伴い、違法開発の事例も報告されている。外国人投資家が取得した土地で、許可なく建物を建築したり、用途地域に反する開発を行ったりするケースが発生。町は対応に追われている。住民の間では「このまま外国人に土地を奪われてしまうのではないか」という不安が広がる。一方で、地元経済を支えてきた観光産業は外国人客の消費に依存しており、単純な排斥論には割り切れない思いもある。
住民の複雑な感情
商店街の店主は「以前はシャッター通りだったが、外国人観光客が増えて活気が出てきた。でも、土地を買われて店を追い出されるかもしれないという不安はある」と語る。別の住民は「外国人が来てくれたおかげで町が栄えたのは事実。しかし、住む場所がなくなったり、生活費が上がったりするのは困る」と複雑な心境を吐露する。専門家は「日本の土地制度そのものに問題がある。外国人かどうかではなく、透明性の高いルール作りが必要だ」と指摘する。
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