愛知県と福井県をまたぐ重大事件の公判対応を巡り、名古屋高検が近く検証作業を開始することが、関係者の話で明らかになった。1986年に福井市で発生した中学3年女子生徒殺害事件で、殺人罪で服役後に再審無罪が確定した前川彰司さん(60)の一連の公判への対応について、詳細な検証が行われる。
検証作業の背景
昨年7月の再審判決では、前川さんに有利な証拠を把握しながらも開示しなかった検察の訴訟活動が厳しく非難された。名古屋高検はこの判決を受け、公判に携わった当時の検察官らへの聞き取りを含め、不適切な対応に至った背景を改めて調査する方針だ。
事件の経緯
前川さんは一審の福井地裁で無罪だったが、二審の名古屋高裁金沢支部が懲役7年の逆転有罪判決を言い渡し、1997年に確定。その後、2度目の再審請求で2024年に再審開始が決定し、金沢支部の再審公判で2025年7月、無罪が言い渡された。
再審判決は有罪の根拠となった知人らの証言の信用性を否定。さらに、検察は一部の証言と矛盾する客観的証拠があることを一審途中で把握しながら、その後も有罪立証を続けたとし、「不利益な事実を隠そうとする不公正な意図があったと言われても仕方がない」と厳しく批判した。
高検の対応
名古屋高検は記録を検討した結果、証拠の取り扱いが不適切だったと判断。「真摯に反省し、教訓とすべきだと考える」(浜克彦次席検事)として上訴権を放棄し、同年8月に前川さんの無罪が確定した。その後、管内の地検に対し、証拠の誤りが判明した場合は速やかに撤回するなどの再発防止策を示していた。
今回の検証作業では、当時の捜査や公判運営の実態を徹底的に洗い出し、再発防止策の徹底を図る狙いがある。関係者は「司法への信頼回復が重要だ」と述べている。



