埼玉親子3人殺害事件で初公判 弁護側は心神喪失を主張し無罪へ
埼玉親子3人殺害事件で初公判 弁護側は心神喪失主張 (15.02.2026)

事件から3年経過も献花が絶えず 埼玉親子3人殺害事件で初公判

2026年1月15日午後0時7分、埼玉県飯能市美杉台4丁目にある被害者宅の献花台には、事件から3年あまりが経過した今も、花や缶コーヒーが供えられていた。恒川隼氏が撮影したこの光景は、地域に深く刻まれた悲しみを静かに物語っている。

裁判員裁判が開始 弁護側は無罪主張へ

埼玉県飯能市で2022年、親子3人を殺害したとして、殺人や非現住建造物等放火などの罪に問われている無職の斎藤淳被告(43)の裁判員裁判が16日、さいたま地裁で始まる。弁護側は、被告が事件当時、刑事責任を問えない心神喪失の状態だったとして、無罪を主張する方針を明らかにしている。

事件の概要と刑事責任能力の争点

起訴状などによると、斎藤被告は2022年12月25日、飯能市の自宅近くの民家の敷地で、この家に住む米国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(当時69)、妻の森田泉さん(同68)、長女で都内に住んでいた森田ソフィアナ恵さん(同32)の3人を、おのをたたきつけるなどして殺害したとされる。さらに、この家に放火した疑いも持たれている。

刑事責任能力とは、自分の行為の善悪を判断したり、行動を制御したりする能力を指す。刑法39条は、この能力がない「心神喪失」なら刑罰を与えず、著しく減退した「心神耗弱」なら刑を減軽すると定めている。今回の公判では、この点が大きな争点となる見込みだ。

検察と弁護側の鑑定結果の対立

検察は被告の精神状態を調べるため、起訴前に約10カ月間の鑑定留置を実施した。この結果を踏まえ、被告に刑事責任能力があると判断して起訴に至っている。一方、弁護側も起訴後に独自の精神鑑定を求め、約3カ月間の調査が行われた。両者の鑑定結果が対立する中、法廷での証拠提出が注目される。

事件の経緯と未解明の関連性

公判では、事件に至った経緯が解明されるかが焦点の一つだ。捜査段階で被告は事件への関与を否定していたとされ、事件が起きるまでの約1年間に3回、ビショップさん宅の車に傷をつけたとして器物損壊容疑で逮捕されたが、いずれも不起訴処分となっていた。これらの損壊事件と殺人事件への関連性は、現在もわからないままである。

公判の日程と今後の展開

公判は予備日を含め計8回予定されており、被告人質問では、被告が一連の事件への関与について法廷で何を語るのかにも注目が集まっている。判決は3月16日に言い渡される予定で、地域社会や関係者にとって、長い裁判の行方が気がかりな日々が続く。

この事件は、刑事責任能力を巡る法的な議論だけでなく、地域の安全や精神保健の問題にも光を当てるものとなっており、今後の判決が社会に与える影響も大きいと考えられる。