延岡市「空飛ぶクルマ」事業を休止へ、前市長肝いり計画が白紙に
延岡市「空飛ぶクルマ」事業休止、前市長計画が白紙に

延岡市「空飛ぶクルマ」事業が休止へ、前市長の計画が白紙に

宮崎県延岡市は、次世代の移動手段として期待される「空飛ぶクルマ」を医療や防災分野で実用化する事業を、2026年度から休止することを決定しました。この事業は、病気辞職した読谷山洋司前市長が肝いりで進めていたプロジェクトであり、現市長の三浦氏が後継候補を破って就任した後、計画の見直しが進められていました。

社会実装の遅れが主な理由

三浦市長は、12日に開催された記者会見で、予算案について説明し、事業休止の理由を明らかにしました。「国の官民協議会において、空飛ぶクルマの社会実装時期が大幅にずれ込む予定となったためです」と述べ、技術的な進捗や規制環境の変化を背景に挙げました。市はこれまで、山間部や離島への医師派遣、災害時に道路が寸断された孤立集落への支援物資搬送など、具体的な活用計画を立てており、国の交付金も活用して事業を推進してきました。

計画の白紙化と再検討の可能性

延岡市は、離着陸場の選定を含む今後の実用化計画を白紙とする方針を示しています。三浦市長は、「社会的に実装できるタイミングが訪れた際には、再検討することもありうる」と述べ、完全な中止ではなく、将来の可能性を残す姿勢を強調しました。この発言は、事業の柔軟な対応を求める市民や関係者への配慮を反映していると見られます。

前市長時代の事業と政治的背景

空飛ぶクルマの関連予算案を巡っては、市議会と読谷山前市長の間で対立が深まっていました。前市長は昨年6月に病気辞職し、その後行われた市長選では、三浦市長が前市長の事実上の後継候補を含む2人を破って当選しました。この政治的な変化が、事業の見直しに影響を与えた可能性が指摘されています。

さらに、延岡市は読谷山前市長時代に進められていた災害時の通信ネットワーク構築事業についても、2026年度は基地局の新設を凍結することを明らかにしました。これにより、市の防災関連プロジェクト全体に波及効果が生じ、予算配分の再編成が進む見込みです。

事業の休止は、技術革新と地域課題の解決を目指す自治体の挑戦が、現実的な制約に直面する事例として注目されています。延岡市の今後の動向は、他の地方自治体にも参考となるでしょう。