政府は、国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳に引き上げるための法改正案を、今国会に提出する方針を固めた。複数の政府関係者が28日、明らかにした。少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少や、高度な専門知識を持つ人材の確保が課題となる中、長期間の勤務を可能にすることで、行政サービスの質の維持・向上を目指す。
段階的な引き上げスケジュール
法案では、定年を65歳に引き上げるまでの移行期間を設け、段階的に実施する方針。具体的には、2028年度から定年を61歳に引き上げ、その後2年ごとに1歳ずつ引き上げ、最終的に2036年度に65歳とする案が浮上している。また、定年後も希望する職員が引き続き働ける再雇用制度の拡充も盛り込まれる見通し。
背景にある人材不足
国家公務員の定年が60歳に設定されたのは、1960年代の高度経済成長期。以来、定年は長らく据え置かれてきたが、近年の急速な少子高齢化により、若年層の採用難が深刻化。特に、デジタル化や国際化に対応できる専門人材の確保が急務となっている。また、公務員の平均年齢が上昇し、年金財政への負担増も懸念される中、定年延長による勤続年数の延長が期待されている。
与党内での調整
政府は、与党との協議を経て、早ければ5月中にも法案を国会に提出する方向で調整している。ただ、一部の野党からは「若手の採用機会が減少する」との懸念や、民間企業との均衡を理由に反対意見も出ており、国会審議では激しい論戦が予想される。
民間企業の動向
一方、民間企業でも2021年の改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業機会の確保が努力義務化されている。国家公務員の定年引き上げが、民間企業の定年制度にも影響を与える可能性がある。
政府は、定年引き上げにより、経験豊富な職員のノウハウ継承や、人件費の抑制効果も見込んでおり、持続可能な行政運営の実現を目指すとしている。



