米太平洋軍司令官、中国の海軍増強に強い懸念表明
米インド太平洋軍のパパロ司令官は4月21日、上院軍事委員会の公聴会に出席し、中国の急速な海軍力増強を念頭に置いた緊急の態勢強化を訴えた。司令官は「揚陸艦の数が明らかに足りていない。駆逐艦や攻撃型潜水艦についても深刻な不足状況が続いている」と具体的な不足艦種を列挙し、現状を「われわれは誤った方向へと進んでいる」と厳しく批判した。
台湾問題への言及と在韓米軍の動向
パパロ司令官は公聴会に事前提出した書面証言において、中国が台湾への武力行使を排除していない点を明確に指摘した。これは米中関係における最も敏感な懸案事項の一つであり、地域の安全保障環境に重大な影響を及ぼす可能性がある。
同じ公聴会にはブランソン在韓米軍司令官も出席し、一部報道で取り上げられた対イラン作戦のため在韓米軍基地に配備されていた高高度防衛ミサイル(THAAD)が中東に移動されたとの情報を正式に否定した。この発言は、朝鮮半島における米軍の防衛態勢が維持されていることを示す重要な表明となった。
中国の海軍拡張と米軍の対応課題
中国は近年、航空母艦や最新鋭の駆逐艦、潜水艦などを次々と就役させ、太平洋地域における海軍戦力を大幅に強化している。これに対し、パパロ司令官は米軍の艦艇不足が戦略的な脆弱性を生み出していると警告した。
具体的な不足状況としては以下の点が挙げられる:
- 揚陸艦:上陸作戦や人道支援任務に不可欠な艦種が不足
- 駆逐艦:防空・対艦・対潜能力を備えた多目的艦の数的劣勢
- 攻撃型潜水艦:敵艦艇への対処や情報収集任務でのギャップ
これらの不足は、台湾海峡や南シナ海などで発生し得る緊急事態への対応能力を直接的に制限する要因となり得る。
今後の安全保障環境への影響
パパロ司令官の証言は、米軍がインド太平洋地域で直面している現実的な課題を浮き彫りにした。中国の軍拡が継続する中、米軍の態勢強化は単なる予算増額ではなく、戦略的な優先事項として位置づけられる必要がある。
公聴会では、艦艇の増強だけでなく、最新技術の導入や同盟国との連携強化についても議論が及んだ。特に、日本や韓国、オーストラリアなど地域の同盟国との共同訓練や装備の相互運用性向上が、中国の軍事プレゼンスに対抗する上で重要な要素として認識されている。
今回の公聴会での発言は、米議会が2025年度以降の国防予算を審議する重要なタイミングで行われた。パパロ司令官の警告が、今後の米軍の配備計画や装備調達にどのように反映されるかが注目される。



