北九州市が過去最大規模の予算案を策定、成長加速戦略を本格始動
北九州市は12日、2026年度一般会計当初予算案として総額6476億8400万円を発表しました。これは前年度当初比で0.7%増加し、同市の予算としては過去最大の規模となります。予算案は「成長加速」を主要テーマに掲げ、人口の増加と投資の呼び込みを目指す様々な事業を展開します。市議会定例会への提案は19日を予定しています。
人口増加対策として教育・子育て支援を強化
同市では昨年まで2年連続で転入者が転出者を上回る「転入超過」を達成しており、この勢いをさらに加速させるため、人や投資を呼び込む事業を重点施策に位置付けました。具体的な取り組みとして、以下のような項目が盛り込まれています。
- 給食費無償化の実施:市立小学校と特別支援学校小学部において給食費を完全無償化。月額4300円の給食費は国の交付金と市の負担で賄われ、保護者の負担軽減費用として32億1200万円が計上されました。
- AI型学習アプリの導入:市立小中学校などで教育環境の向上を図るため、1億1300万円を投じてAIを活用した学習アプリを導入します。
- 保育料無償化の拡大:政令市として初めて、第2子以降の全ての子どもの保育料を無償化する事業に1億6900万円を充て、子育て世帯の支援を強化します。
地域活性化と高齢者活用プロジェクトも推進
地域のつながりを強化し、都市成長を下支えする取り組みとして、高齢者の人生経験を地域活性化に生かす「ケイケン・タカラ」プロジェクトが新たに始動します。このプロジェクトには7100万円の事業費が計上され、高齢者向けのボランティア活動紹介や起業支援などが実施されます。
さらに、多世代が集い交流できる空間「まちの縁側・リビング」を市民センターなどに設置する費用として1900万円が充てられ、地域コミュニティの活性化が図られます。
歳入・歳出の内訳と財政健全化への取り組み
歳入面では、所得の伸びに伴う個人市民税の増収や住宅新築による固定資産税の増収が見込まれ、市税収入は過去最高の1925億円(前年度比2.1%増)となる見通しです。一方、借金にあたる市債の発行額は375億円(同3.1%減)に抑制され、歳入に占める割合は5.8%(同0.2ポイント減)と改善されます。2026年度末の市債残高は8030億円(同0.2%減)となる計画です。
歳出では、職員の人件費や生活保護費などの義務的経費が3716億円(同5.3%増)となり、12年連続で過去最高を更新します。また、財政調整用基金から152億円を取り崩し、予算の財源確保に充てられます。
空港拡張と半導体産業の利用促進で経済成長を後押し
経済成長を加速させるため、北九州空港の物流拠点化推進に重点を置き、空港関連予算には過去最大の22億1600万円が盛り込まれました。同空港は来年8月に滑走路が3000メートルに延伸され、大型貨物機の欧米への直行便就航が可能となる見込みです。
特に、九州地域で投資が進む半導体産業の貨物利用を促進するため、空港の貨物関連事業費として6億9300万円(2025年度当初比2.4倍)を計上。海外向け半導体貨物の輸送費助成などを拡充し、地域経済の活性化を図ります。
この大規模な予算案は、北九州市が人口増加と投資呼び込みを通じて持続的な成長を実現しようとする意欲的な試みであり、今後の市議会での審議が注目されます。