名古屋市予算案が1兆6960億円で10年連続最大 アジア大会で歳入不足、基金借り入れ22年ぶり
名古屋市予算案1兆6960億円 10年連続最大 アジア大会で歳入不足

名古屋市予算案が1兆6960億円に 10年連続で過去最大を更新

名古屋市は、2026年度当初予算案を総額1兆6960億円と決定しました。これは前年度当初比で4.9%増加し、10年連続で過去最大の規模を更新するものです。2月18日開会の市議会2月定例会に提出される予定で、広沢一郎市長が初めて一から編成した当初予算案となります。

アジア大会関連経費で歳出増加 歳入不足で基金借り入れ

今秋開催されるアジア・アジアパラ競技大会の関連経費や、物価・賃金上昇の影響により歳出が増加。一方で歳入不足が見込まれるため、市は22年ぶりに公債償還基金からの借り入れを実施します。具体的には、国が特例で認めた新たな地方債「調整債」で192億円を穴埋めするほか、公債償還基金から440億円を借り入れて収支の均衡を図りました。

歳入の柱となる市税は6900億円と5年連続で過去最高を更新。個人所得や家屋の新増築がそれぞれ増加し、個人市民税と固定資産税が増加したことが要因です。しかし、アジア大会開催に伴う経費増大が財政を圧迫しています。

市債残高が過去最高に 2兆円に迫る水準に

借金に当たる市債は2169億円で過去最高を記録。歳入に占める割合(公債依存度)は12.8%となり、一般会計の市債残高は1兆9925億円と過去最高を更新し、2兆円に迫る水準となりました。

広沢市長は市長選の公約として掲げた市民減税の10%への拡大について、約100億円の財源が必要なため2026年度の拡大は断念したことを明らかにしました。一方で、不妊治療費助成など一部の公約は実現させています。市長は「今後の財政状況を見て、最後まであきらめず任期中にしっかりやっていきたい」と述べています。

アジア大会関連事業に9300万円を計上

アジア・アジアパラ大会では、名古屋の魅力向上と来場者の満足度向上に力を入れます。大会期間中には、夜間観光を活性化させるため、県や民間事業者と連携して名古屋駅や栄、名古屋城などを巡るオープントップバスのツアーを実施。市役所本庁舎でのプロジェクションマッピングや、名古屋駅前への観光案内スペース設置費用として9300万円を予算に盛り込みました。

子育て・教育支援にも重点配分

不妊治療支援では、公的保険が適用されない先進医療の不妊治療費用を一部助成。対象は43歳未満の女性で、夫婦いずれかが市内に居住していることが条件です。助成額は上限5万円で治療費の7割を支給し、4月以降に開始した治療が対象となります。事業費は1億3400万円です。

教育環境整備では、学校に行きづらさを感じる子どもの多様な学びを保障するため、フリースクールを利用する子どもの保護者への補助金1億524万円を予算化。就学援助認定の有無で上限額は異なりますが、最大で2万2000円を補助します。

また、市の小学校教諭らによる盗撮事件が多発したことを受け、子どもと保護者の安心安全を確保するため、専門業者による盗撮機器の抜き打ち点検を全市立学校・園を対象に無作為で実施。事業費は700万円です。

住民サービス向上と庁舎整備計画

12月からマイナンバーカードを使い、コンビニで住民票の写しや所得証明書を取得可能とするため、システム改修費などに4億3404万円を充てます。

築40年以上が経過した北、中川、港、緑、名東、天白各区役所と楠、志段味両支所に関しては、庁舎整備の優先度を整理するために客観的に比較する指標を作成。学識経験者らによる会議を開き、評価項目や基準をまとめて今後の庁舎整備に活用します。事業費は1000万円で、2027年度には整備の優先度を決定する予定です。

名古屋市立大学への中高一貫型「中等教育学校」の設置に向けた取り組みも本格化。2029年4月開校を目指し、検討会議の開催や他の先進事例の調査費用として500万円を同大学に交付します。