「キモかわいい」と人気の深海生物「オオグソクムシ」が、長崎沖の深海に高密度で生息している可能性があることが、長崎大学の調査で明らかになった。研究成果は国際学術誌に掲載された。
オオグソクムシとは
オオグソクムシは、巨大なダンゴムシのような外見を持つ等脚類の仲間で、体長約10センチ、重さ約30グラム。水深数百メートルの海底に潜み、沈んでくるクジラや魚の死骸を食べることから「海の掃除屋」とも呼ばれる。これまで太平洋側に多く生息することが知られていたが、長崎沖など東シナ海での生息報告は少なく、分布や生態は謎に包まれていた。
調査の概要
長崎大学の八木光晴准教授(水産環境科学)らの研究チームは、2021年から2024年にかけて、東シナ海に位置する長崎沖で調査を実施。水深151メートルから821メートルの19地点に、サバの切り身を餌として入れたカゴや筒を設置した。
一晩仕掛けた結果、最も多い地点では201匹、合計1152匹のオオグソクムシを捕獲。生息しやすい水温8度前後の水深400~500メートルで捕獲数が最も多く、700メートルより深い地点では急減。最も浅い151メートルと最も深い821メートルでは捕獲されなかった。水深337メートルの地点では約200匹を捕獲した。
想定外の多さ
八木准教授は「海から引き揚げたら、カゴいっぱいに入っていた。あまりに多くて想定外だった。太平洋側と比べて、オオグソクムシにとって住みやすい環境が広がっているのかもしれない」と話す。なぜ長崎沖にオオグソクムシの「大集落」が存在するのか、その解明は今後の課題としている。
深海調査の難しさ
そもそも深海は観測や長期的な調査が難しく、これまで東シナ海では詳しい生息調査が行われてこなかった。今回の成果は、深海生態系の理解を深める重要な手がかりとなる。
研究の意義
調査では、3~4センチほどの小型個体も多数確認され、繁殖や成長に関する新たな知見も得られる可能性がある。オオグソクムシの生態解明は、深海の食物連鎖や環境変動の影響を探る上でも重要だ。
この研究は、長崎大学の大学院生も参加し、若手研究者の育成にも貢献している。今後のさらなる調査で、オオグソクムシの謎が解き明かされることが期待される。



