青森県内の夏を彩る「八戸三社大祭」と「青森ねぶた祭」が開幕まで2カ月を切る中、中東情勢の緊迫化に伴うナフサ(粗製ガソリン)不足が山車やねぶたの制作に深刻な影響を及ぼしている。ナフサ由来の資材が入手困難となり、価格も高騰。制作者らは頭を悩ませている。
八戸三社大祭:接着剤不足で人形を大幅削減
八戸三社大祭は、高さ最大11メートルに及ぶ山車が市街地を巡る華やかな祭り。制作・運行を担う淀山車組では、今年の人形を当初予定の約20体から12体に減らすことを余儀なくされた。制作に欠かせない接着剤が入手できる見通しが立たないためだ。
淀山車組は毎年10キロ以上の接着剤を使用する。例年は複数の業者から仕入れていたが、今年は「いつ入ってくるかわからない。入ったとしても値段は上がる」と業者に断られるケースが相次いでいる。取りまとめ役の大野素敬さん(58)は「足りない。山車にもう少し手を入れたかったが、あるもので作るしかない」と残念がる。接着剤をテープで代用することも検討しているという。
はちのへ山車振興会によると、動物などの造形に使う発泡スチロールも入手が難しくなっている。各団体は昨年購入した分を活用したり、他の山車組から完成した造形物を借りたりして、山車作りを進めている。
青森ねぶた祭:電線やビニールが高騰
青森ねぶた祭の現場からも悲鳴が上がる。ねぶた師の内山龍星さん(64)は「針金、接着剤、和紙など、すべての物の値段が上がっている」と語る。特に痛手なのは、ねぶたを内側から照らすための電気配線だ。ナフサ不足の影響で、ビニール被覆された電線の価格が高騰。ねぶた1台に約200メートルを使うが、例年は100メートル1万6000円程度だったのが、現在は2万円を超えるという。
雨の運行日にねぶたを覆うビニールも心配だ。業務用の厚手ビニールで、巨大なねぶた1台を覆うには15~20メートル四方が必要。青森ねぶた運行団体協議会によると、今年は昨年より約1万円値上がりし、1枚6万9000円ほどになっている。
内山さんは「物の値段が高くなるのはつらいが、ある程度仕方がない」とあきらめ顔。最も危惧するのは、中東の緊張が続き、物自体がなくなることだ。「1年かけて準備した祭りが物不足でできなくなれば、魂がなくなるのと同じ」と、中東情勢の安定化を切望している。



