世界保健機関(WHO)の本部がスイス・ジュネーブに所在することは、国際社会における公衆衛生の重要な拠点として知られている。2025年5月、同本部で行われた会合では、感染症の世界的な大流行(パンデミック)への備えを強化するために昨年5月に成立したパンデミック条約に関する運用規則の交渉が行われてきた。
交渉の現状と合意の先送り
WHO加盟国は、5月1日、実質的な目標としていた今月後半の総会までの合意を見送り、来月以降も交渉を継続することで一致した。この決定は、各国が署名・批准の手続きを進めるために必要な運用規則の採択が遅れることを意味し、条約発効までのプロセスが長期化する懸念がある。
運用規則の内容と課題
運用規則は、ワクチンや治療薬の開発から生み出される利益の配分、さらには病原体情報の共有方法など、重要な要素を定めている。加盟国は総会を前に、4月下旬から作業部会を開催し、意見の集約を試みてきた。しかし、各国の立場や利害の違いが大きく、合意に至ることができなかった。
交渉の難航は、特に利益配分や情報共有のルールをめぐる先進国と途上国の間の対立が主因とみられる。今後の交渉では、これらの相違点をいかに調整するかが焦点となる。
今後の見通し
合意の遅れにより、条約が実際に発効するまでの期間がさらに延びる可能性がある。しかし、加盟国は引き続き協議を続ける姿勢を示しており、来月以降の交渉で進展が期待される。国際社会の連携が求められる中、パンデミックへの備えを強化するための取り組みは引き続き重要な課題である。



