千葉県における外国人の不法就労者数が高止まりしている。出入国在留管理庁のまとめによれば、都道府県別で千葉県は2015年以降、10年間にわたりワースト1位か2位に位置している。その原因を探ると、外国人の労働力に依存した地域経済の実態が浮かび上がる。隣接する茨城県では、不法就労者を雇用する事業者などを通報し、検挙につながれば報奨金が支給される制度の準備が進んでおり、賛否両論を呼んでいる。一方、千葉県は現状に対して静観を続けており、今後の対応が問われている。
事件の背景に農業の人手不足
昨年6月、旭市議会の遠藤保明市議は、在留期限を過ぎたタイ人らに農作業をさせたとして、千葉地裁で出入国管理法違反(不法就労助長)の罪により懲役1年執行猶予3年、罰金70万円の判決を言い渡された。
判決は、刑事責任に触れる一方で、犯行に及んだ背景には人手不足があったとし、「もっぱら地域農業の継続のためで、多額の利益を得ていたとは認められない」と指摘した。
遠藤市議は事件後も市議を続け、昨年12月の市議選で再選を果たした。取材に対し、「繁忙期に外国人らが飛び込みで来た。在留資格の確認をしなかった自分が甘かった」と述べた上で、「一定規模以上の農家は、繁忙期は外国人に頼らなければやっていけない」と語った。
茨城と千葉で全国の約4割を占める
出入国在留管理庁が公表する入管白書によると、2015年以降、千葉県の不法就労者数は800人から2200人ほどの間で推移している。2024年は2257人で、茨城県の3452人に次いで全国2位となった。2015年以降、千葉と茨城が入れ替わりで1位と2位を占めており、2024年には全国の不法就労者の約4割をこの両県が占めた。
出入国在留管理庁は、両県で不法就労が多い理由を明確には分析できていないとしている。しかし、担当者は、千葉県は2025年末時点で在留外国人が25万9663人と多く、東京からのアクセスが良好である上に、農業などの一次産業が盛んであることを挙げ、「複数の要因が絡み合っていると考えられる」と述べた。
産業別の不法就労の実態
不法就労者を産業別で見ると、農業が最も多く、次いで建設業、製造業が続く。特に農業では、繁忙期に人手が不足するため、在留資格を確認せずに外国人を雇うケースが後を絶たない。千葉県内の農業従事者の高齢化も進み、若い労働力の確保が難しくなっている。
茨城県の通報報奨金制度に賛否
一方、隣の茨城県では、不法就労者を雇う事業者などを通報し、検挙につながれば報奨金が与えられる制度の準備が進んでいる。この制度には、不法就労の抑止効果を期待する声がある一方で、「差別を助長する」「外国人労働者をさらに追い詰める」との批判も上がっている。
千葉県は現状、こうした制度を導入しておらず、静観を続けている。専門家からは、「不法就労を減らすには、適正な労働環境の整備や、合法的な労働力の確保が不可欠だ」との指摘がある。
今後の課題
千葉県の不法就労問題は、地域経済と法の狭間で難しい課題を突きつけている。農業などの一次産業は外国人労働者に依存せざるを得ない現実があり、単純な取り締まりだけでは解決しない。合法的な労働力の受け入れ拡大や、労働環境の改善など、総合的な対策が求められている。



