和歌山県串本町沖で1890年に沈没したオスマン帝国(現トルコ)の軍艦「エルトゥールル号」から引き揚げられた木製滑車などの遺物が29日、奈良大学での保存処理を完了し、串本町に返還されました。これらの遺物は同町のトルコ記念館で一般公開される予定です。
保存処理の経緯と意義
エルトゥールル号は親善目的で日本に来航しましたが、帰路の途中で暴風雨に遭遇し串本町沖で沈没。乗組員500人以上が死亡する一方、地元住民が69人を救助したことが、日本とトルコの友好関係の礎となりました。
トルコの水中考古学者トゥファン・トゥランル氏らの調査チームは2007年から海底調査を開始し、約8000点の遺物を回収。串本町の施設で保管されてきました。陶器やガラス製品などは同施設で保存処理が行われましたが、木製滑車など劣化が著しい遺物は処理が困難で、高い文化財保存技術を有する奈良大学で2024年から作業が進められていました。
返還式の様子
返還式で田嶋勝正町長は「日本とトルコを結ぶ重要な遺物です。完璧に処理していただきました。多くの人に見てもらいたい」と述べ、遺物の重要性と保存処理の成功を強調しました。
今後の公開計画
奈良大学では滑車など33点の保存処理を実施。これらの遺物は今後、串本町のトルコ記念館で展示され、日トルコ友好の歴史を伝える役割を担います。



