日本の政府開発援助(ODA)を実施する国際協力機構(JICA)が行う無償資金協力「人材育成奨学計画」の経験者が、近年、アジア各国などで政府要職に就くケースが増えている。この事業は、途上国の若手行政官を日本の大学院などに受け入れ、育成することを目的に1999年度に開始され、これまでに6700人以上を受け入れてきた。
キルギス経済相も日本留学経験者
日本留学経験者で政府要職に就いた一人が、中央アジアのキルギスのバキト・シディコフ経済・商務相だ。彼は2008年から2010年まで立命館大学大学院に留学していた。昨年12月には、日本と中央アジア5か国による初の首脳会合に合わせて来日し、東京都内で茂木外相と会談、租税協定に署名した。現在も日本語を話し、外務省職員ともあいさつを交わしたという。
モンゴルやベトナムでも「日本留学組」が活躍
モンゴルのバドラフ・ナイダラー・エネルギー相やベトナムのファム・クアン・ヒエウ駐日大使も日本留学経験者であり、各国で政府要職に就いている。こうした人材は、日本企業のビジネスにも貢献している。東ティモールでは、技術協力の枠組みで政策研究大学院大学に留学した同国公共事業省幹部と北海道の企業が協力し、土砂崩れ対策の事業を展開した。JICAの担当者は「留学を通じて培った日本への信頼が公共事業のパートナーに日本企業を選ぶ判断につながった」と指摘する。
事業の意義と今後の展望
各国の若手行政官の留学先は伝統的に欧米が多く、最近は中国も存在感を増している。しかし、JICAを通じた日本留学で得た知識を生かして各国の要職に就いた元留学生らは、日本にとって相手国政府に働きかける際の貴重な人脈となっている。外務省幹部は「歴史問題など難しい課題でも、知日派として日本の立場を理解してくれる。外交を進める上で非常に大きな存在だ」として、事業の意義を強調している。この取り組みは開始から四半世紀を経て、着実に実を結んでいる。



