米南部テネシー州の連邦地裁は22日、トランプ政権に「手違い」でエルサルバドルに強制送還され、後に米国に連れ戻されたキルマー・アブレゴガルシア被告(30)について、不法移民の密入国をあっせんした罪での起訴を棄却した。裁判官は、起訴が「報復的であり、起訴権の乱用に当たる」と判断した。司法省はこの決定に対して控訴する見通しである。
事件の背景
被告は2019年、エルサルバドルでギャングに脅されたとして米国に亡命を申請。裁判所は国外退去を保留する命令を出していたが、移民・税関捜査局(ICE)は昨年3月に被告を拘束し、エルサルバドルに強制送還した。この送還は後に「手違い」であったと認められ、被告は米国に連れ戻された。
裁判所の判断
連邦地裁判事は、被告が強制送還に異議を唱えたために起訴されたとし、これは報復的な行為であると指摘。また、起訴権の乱用があったと結論付けた。この判決は、政府の行動に対する司法のチェック機能が働いた事例として注目される。
被告の弁護団は、強制送還後の起訴は不当であり、被告の人権を侵害するものだと主張していた。今回の棄却決定により、被告は当面の法的リスクから解放されることになった。
今後の見通し
司法省はこの判決に不服として控訴する方針とみられる。控訴審では、起訴が本当に報復的であったかどうかが争点となる。また、この事件は移民政策の執行における司法の役割について、広範な議論を呼ぶ可能性がある。



