プルデンシャル生命保険で大規模な不正が発覚、約100人の社員が関与し約31億円を不正取得
生命保険は、顧客が保険料を負担し合い、死亡や病気などによる経済的リスクに備える重要な仕組みです。顧客や家族の暮らしを守ることを使命とする生保会社の社員が、その信用を悪用して財産をだまし取る行為は極めて悪質であり、社会全体に大きな衝撃を与えています。
約500人の顧客が被害に、未弁済額は約23億円に上る
外資系生保大手のプルデンシャル生命保険は、社員や元社員ら約100人が、顧客に架空の投資話などを持ちかけ、金銭をだまし取ったり借りたりする行為を繰り返していたと公表しました。不正は1991年から2025年にかけて行われ、約500人の顧客から計約31億円を不正に受け取ったとされています。そのうち、約23億円がまだ弁済されていない状況です。
同社は郡山市に支社を置いていますが、被害者に福島県関係者が含まれているかについては明らかにしていません。会社側は「公表している以上の内容については答えを差し控えたい」としており、詳細な情報提供を拒んでいます。
会社の体制に問題、過度な成果主義が背景か
被害者への金銭返還や補償のため、同社は「お客さま補償委員会」を設置して対応しています。しかし、約100人もの社員が不正に関与していたことから、実質的には会社全体の不正と見なすべきでしょう。顧客からの補償申請は、9日時点で約300件に上っており、未把握の案件も含まれている可能性があります。同社は全容の把握と被害弁済を徹底しなければなりません。
不正の背景として、同社は保険の新規契約獲得に強く連動する報酬制度を挙げています。社員の収入が不安定になりやすく、報酬を重視する気質の強い人材が集まることが課題だとしていますが、これは不正の言い訳にはなりません。過度な成果主義の見直しと制度の刷新が急務です。
対応の遅れが批判を招く、金融庁が監視強化へ
同社は、2024年に元社員が投資運用名目で顧客から約7億5千万円を不正に預かっていたことが発覚し、顧客に同様事例がないか情報提供を呼びかけました。しかし、得られた情報の公表は今年に入ってからと遅れており、対応の不十分さが指摘されています。
1月に不正を発表した当初は記者会見も行わず、真相究明のための第三者委員会の設置や新規契約の保険販売活動の90日間自粛を打ち出したのも今月に入ってからです。批判の高まりによって、対応を変化させていると見られても仕方ないでしょう。同社が不正の重大さを十分に認識しているかは疑わしい状況です。
金融庁は同社に立ち入り調査を行っており、行政処分も視野に入れています。生保業界では、個人情報の持ち出しなどモラルを疑わせる不正が相次いでいます。同庁は自らの監視が行き届いていないことが一因と捉え、監督や指導を強化すべきです。