原発防潮堤「土塁扱い」の謎 専門用語が市民理解を阻む
原発防潮堤「土塁扱い」の謎 専門用語が市民理解阻む

原発防潮堤の「土塁扱い」説明に専門用語の壁

茨城県東海村にある東海第2原子力発電所の防潮堤で施工不良が発覚した問題で、日本原子力発電(原電)の村松衛社長が「土塁扱い」という専門用語を用いて説明した。この表現が一般市民にとって理解しにくいものであることが浮き彫りとなり、原子力施設を巡る情報公開の在り方に疑問が投げかけられている。

「土塁は土の塁」という説明の限界

2026年1月上旬、水戸市内で開かれた会見で村松社長は「作った構造物は『土塁扱い』ということで、構造成立性の判断から除く形で対策工事を行います」と述べた。記者から「土塁扱い」の意味を問われると、「土塁は土の塁。構造上、基本的にはこれをあてにしない」と回答。具体的には、施工不良のあった基礎部分の強度を信用せず、追加で鋼管くいを打ち込むなどの対策を講じるという。

「土塁」という言葉から「あまり強いものではない」と想像はできるものの、そのまま活字にしても多くの読者には正確に伝わらない可能性が高い。土木や建設業界の関係者であれば理解できる専門用語だが、一般市民にとっては意味が分かりづらい表現だ。

原子力取材で頻出する独特な用語

原子力発電所に関する取材では、このような独特な専門用語が頻繁に登場する。記者たちはこれらの用語をより平易な言葉に言い換えることに苦労しており、時には「関係者がわざと分かりにくい言葉を使い、市民の関心を遠ざけようとしているのでは」という疑念さえ抱きかねない状況だ。

しかし、会見で複雑な技術的内容を分かりやすく説明することは、どの取材先にとっても容易なことではない。ある記者は「目の前の記者ではなく、その向こうにいる大勢の市民の顔を思い浮かべ、やさしい言葉を選んで説明する」ことが重要だと指摘する。

情報伝達の透明性が問われる

原子力施設を巡る情報公開において、専門用語と一般向け説明の間には依然として大きな溝が存在する。技術的正确性を保ちつつ、市民が理解できる形で情報を伝えることは、原子力事業者にとって重要な課題となっている。

東海第2原発の防潮堤問題は、単なる施工不良の対応策だけでなく、原子力施設に関する情報伝達の在り方そのものに光を当てる事例となった。市民が安心して情報を受け取れる環境づくりが、今後ますます求められるだろう。