政府の新金融戦略骨子案が判明、銀行規制緩和と成長資金供給が焦点
政府が検討している金融分野の新戦略の骨子案が20日、明らかになった。この案は、銀行に対する規制の緩和を柱としており、特にM&A(企業合併・買収)や新規事業への大型融資において、自己資本比率規制の見直しを提案している。高市早苗政権が掲げるAI(人工知能)を含む戦略17分野への成長資金供給を促進することを目的としている。
銀行規制の大幅な緩和を計画
骨子案によれば、銀行の融資規制緩和策として、経営健全度を示す自己資本比率規制の見直しが検討されている。現在、1社あたりの融資総額の上限は、銀行の中核的自己資本の25%までと定められているが、大型M&Aや新規事業に向けた特別目的会社への融資に限り、一時的に上限を超えることを金融庁が審査した上で認める方針だ。これにより、巨額の資金需要に対応しやすくなる。
さらに、銀行が子会社の投資専門会社を通じて企業再編に資金を供給しやすくするため、規制緩和が計画されている。現在、銀行は議決権ベースで5%を超える出資を原則禁じられており、投資専門子会社も5%超の出資はベンチャー企業や事業再生の場合などに限定されている。この規制を緩和し、上場企業がMBO(経営陣による買収)で非公開化する場合や、事業を切り出して新会社として独立させるカーブアウトの場合も、5%超の出資を可能にする方向性が示されている。
戦略分野への資金供給を強化
政府は、AIなど戦略17分野への成長資金供給を強化するため、銀行の投資活動を活性化させることを目指している。骨子案は、政府内の会議で検討され、早ければ2026年6月に策定される政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」や、新金融戦略に盛り込まれる見通しだ。これにより、経済成長のけん引役となる分野への資金流入が期待される。
また、生命保険会社の安全網に対する政府補助の議論も進められており、金融システム全体の安定性を高める取り組みが並行して進んでいる。これらの施策は、国内外の経済環境の変化に対応し、日本の金融市場の競争力を向上させることを目的としている。
政府関係者は、「新戦略は、銀行の柔軟な資金供給を促し、イノベーションや企業成長を支援するものだ」と説明している。今後、詳細な制度設計や実施スケジュールが詰められる予定で、金融業界や経済界からの反応が注目される。



