岐阜県瑞浪市のJR瑞浪駅周辺で、南北二つの再開発事業が進んでいる。しかし、建設業界の人手不足や建設資材の価格高騰などにより、各地で再開発の中止や見直しが相次ぐ中、瑞浪でも施工業者の撤退や資材高騰といった荒波にさらされ、関係者が気をもんでいる。
南地区の再開発計画と長谷工撤退
南地区では、地権者らが市街地再開発準備組合を組織し、3階建ての商業棟2棟、220台分の立体駐車場棟、11階建てマンションの住居棟を建設する計画を進めてきた。準備組合は2024年2月、長谷工コーポレーションと事業協定基本契約を締結。同年8月の契約終了後もマンション建設を念頭に協力を続けてきたが、2025年春ごろ、長谷工から「各地で再開発事業が相次ぎ、必要な人手を確保できず、建設に携われる見通しが立たない」との申し出があった。
地権者兼事務局を務める石田智久理事は「ネームバリューの高い長谷工さんに参画してもらえる期待が大きかった」と肩を落とす。これを受け、準備組合は建設系の事業協力者を新たに募集し、6月に選定する予定だ。準備組合は秋ごろに組合に移行する運びで、建物も住人も高齢化が進む中、副理事長の永冶高三さんは「最後のチャンス」と話す。長谷工の離脱で暗雲が立ちこめるが、「再開発の失敗事例もあるが、じゃあずっと待つのか。可能性に向かって動くしかない」と力を込める。
北地区の複合施設と用地取得の課題
駅北地区では、図書館やホール、貸室などの機能を集約した複合公共施設の整備が計画されている。2024年10月、TSUTAYAなどを手がけるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、横浜市)を代表とする企業グループを運営事業者に定め、話題を呼んだ。2028年度末の完成を目指し、用地取得は現在47件中31件が契約済み。本年度中に残り16件も契約し、2027年4月に着工する計画だ。
しかし、北地区でも騒動が起きた。市議会3月定例会で、市は寺河戸町の宅地222.21平方メートルと鉄筋コンクリート造6階建てマンション(延べ床面積616.38平方メートル)の競売に参加し、3億円で買い受ける議案を提出。可決され、3月31日付で取得した。土地代は不動産鑑定士が約1千万円、建物と工作物などは公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に準じて約2億9千万円と算定し、市は「3億円」を設定した。だが、裁判所の定める基準価格は約4千万円、競売で次点の入札額も約1.1億円と大きな開きがあった。
市シティプロジェクト推進課の担当者は、行政が補償すべき価格より安く購入することは所有者への財産補償として適切でないとして、「価格は間違いなく適正。所有者への適切な財産保証をすべきだ」との認識を示した。3億円に建物の解体費や移転雑費は含まれておらず、市は本年度中に解体工事の担当業者を入札で決めるといい、さらに費用は膨らむ予定で、市民の理解を丁寧に得ながら進める必要がある。
全体の事業費と今後の見通し
加えて、駅北地区の複合公共施設の事業費は約48.2億円を想定していたが、物価高騰に伴って上昇する見込み。水野光二市長は「一番心配なのは建設資材の入手や建設コスト」と懸念を示しつつ、「再開発を核として市街地全体の活性化につなげていきたい」と力を込めた。再開発の成否は、瑞浪市の未来を左右する重要な課題となっている。



