次の日曜は母の日。不登校で引きこもりがちだった名古屋市天白区の山田玲菜さんが、カーネーションの造花づくりに追われている。インターネット上で造花の専門店を開業し、花びらをラメ(グリッター)で飾った独自の「グリッターローズ」が大人気に。「人と接するのが苦手だった」という18歳は、いつか実店舗を構える夢と母への感謝を抱きつつ、創作に打ち込んでいる。
グリッターローズの魅力
白い造花に色を付け、光沢のあるラメを塗る。注文によってはティアラなどの小物をあしらう。花束は華やかさを増し、より目立つようになる。「推しのイメージカラーに合わせてオレンジ色に」といった個別の要望にも応える。手間も時間もかかる。造花の素材はせっけん。ほんのりと芳香が漂う。
創作の原点
幼少期から折り紙でドングリや花を作ったり、祖父母の名前をハンカチに縫って贈ったりと、工作や手芸が好きだった山田さん。中学時代、友人関係がうまくいかなくなり、引きこもりがちに。高校では、体調が優れず午前の授業に出られない日が増え、卒業が難しくなった。高校卒業程度認定試験(旧大検)に合格し、2年生の途中だった2024年12月に退学した。
転機と開業
転機は翌25年2月。お世話になった高校の先輩に、卒業式に合わせてグリッターローズを贈ろうと、ネットサイトを探したが、品切れ。「だったら自分でつくってみよう」。つくり方を紹介する韓国など外国の動画を繰り返し見て調べた。
卒業式。心を込めて仕上げた花束を手渡すと、先輩は何枚も写真を撮って喜んだ。そして「売れるよ」と背中を押してくれた。
25年4月、ネット上に「Fleur Cherie(フルールシェリー)」を開業。店名は「いとおしい花」という意味だ。最初に受けた注文は三つ。「本当に売れたんだ」と感動した。半年後、注文は月20~30に伸び、クリスマスがある12月は約90を数えた。ことし1月の成人式前には約150が売れた。
母の支え
身近で支えになったのが母千佳さん(43)。自分の仕事が忙しくても手伝ってくれた。注文が増えた昨年冬ごろからは、千佳さんのつてを頼り、愛知県常滑市の就労継続支援B型事業所に包装紙を折る作業などを頼んでいる。
売れ筋はバラの花束で、一つ9千円ほど。入学や卒業などお祝い用の引き合いが多いが、いまは母の日に向けてグリッターローズの“カーネーション版”をつくっている。
感謝の気持ちを込めて
娘が学校を休んでも怒ることなく見守ってくれたという千佳さん。山田さんは10日、自作の花束で感謝を伝えるつもりだ。「心配させたけど、これから頑張るから」。そんな手紙を添えて。(加藤壮一郎)



