イラン危機が覆すエネルギー常識 脱中東・脱石油へ向けた安全保障の重要性
イラン危機が覆すエネルギー常識 脱中東・脱石油へ

イラン危機が引き起こす歴史的エネルギー危機

米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに、石油と天然ガスの供給が大きく落ち込み、世界は歴史的なエネルギー危機に直面しています。この分野の国際情勢や政策を長年見つめてきた日本エネルギー経済研究所の小山堅専務理事は、今回の危機がエネルギー安全保障の重要性を改めて示していると指摘します。大半を輸入に頼る日本は、この難局をどう乗り越えていくべきか、その考えを聞きました。

エネルギー常識を覆すホルムズ海峡の封鎖

小山氏は、今回の危機が過去のエネルギー危機と比べて持つインパクトについて、次のように語ります。「エネルギーをめぐる『常識』が覆りました。ホルムズ海峡は、世界の石油と液化天然ガス(LNG)の供給量の2割が通る大動脈です。封鎖されるリスクが話題に上ることはあっても、ビジネスや政策の関係者らの間では、実際に起きることはまずないだろうと考えられてきました。それが現実となり、国際エネルギー市場の歴史上、類例のない規模の供給途絶が続いています。これを完全に代替できる生産能力はほかに存在せず、きわめて深刻な事態です」

石油と天然ガスの初の同時途絶

影響の表れ方には、どのような特徴があるのでしょうか。小山氏はこう説明します。「石油と天然ガスの供給が両方とも大規模に途絶するのは初めてで、影響が特に大きいのは、ホルムズ経由の輸入に依存するアジア諸国です。1970年代の石油危機はまさに石油の話でしたし、2022年にウクライナ戦争が始まった時は、天然ガスをロシア産に頼る欧州にとっての大きな危機でした。今回の事態は、これらの危機を同時に経験するようなものです」

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価格面での大きな影響と不安定さ

価格面の影響についても、小山氏は懸念を示します。原油の指標価格はイラン危機前の1.5倍前後で乱高下しており、巨大な供給途絶が起きている現状では、価格の不安定さが続く見込みです。このような状況下で、日本を含む輸入依存国は、エネルギー安全保障の観点から、脱中東・脱石油への転換を急ぐ必要があります。

日本のエネルギー政策の課題と展望

小山氏は、日本のエネルギー政策について、次のように提言します。「今回の危機は、エネルギー供給の多様化と、再生可能エネルギーへの投資加速を促す契機となるでしょう。安全保障を重視した政策転換が求められており、脱中東・脱石油に向けた具体的な道筋を早急に描くことが重要です」

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