政府は6月5日、人工知能(AI)が生成する偽情報への対策を強化するため、新たな法律を2027年の施行を目指して制定する方針を固めた。関係者への取材で明らかになった。急速に普及する生成AI技術を悪用した偽情報の拡散が社会問題化しており、SNS上の偽情報対策やAI開発者への規制を柱とする。
新法の概要
新法では、SNS上で拡散されるAI生成の偽情報について、プラットフォーム事業者に対し削除や注意喚起の義務を課す。また、AI開発者には、偽情報を生成しにくい仕組みの導入や、生成物への明示的なラベル表示を求める。違反した場合の罰則も検討する。
政府のスケジュール
政府は今月中に有識者会議を設置し、年内に骨子案をまとめる。来年の通常国会に関連法案を提出し、2027年の全面施行を目指す。岸田首相は「AIの恩恵を享受しつつ、リスクに適切に対処する必要がある」と述べ、法整備の必要性を強調した。
背景と課題
近年、ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、それを悪用した偽情報やディープフェイク動画の拡散が国際的な問題となっている。日本でも昨年の選挙期間中にAI生成の偽情報が拡散した事例があり、対策の遅れが指摘されていた。一方で、表現の自由や技術革新への影響を懸念する声もあり、規制のバランスが課題となる。
専門家の見解
情報法制に詳しい専門家は「AI偽情報対策は喫緊の課題。しかし、過度な規制はAI産業の発展を阻害する恐れもある。政府は関係者との丁寧な協議が必要だ」と指摘する。また、国際的なルール作りとの連携も重要で、G7やOECDなどでの議論を踏まえた内容が求められる。
政府は、新法の制定に先立ち、既存の法律やガイドラインの見直しも進める方針だ。特に、個人情報保護法やプロバイダ責任制限法との整合性を図るとともに、AI開発者向けの自主規制ガイドラインを策定する。



