三重県伊勢市二見町の人気水族館「伊勢シーパラダイス」は、連休中も多くの来場者でにぎわっている。海の生き物たちと間近で触れ合える「ゼロ距離」の体験が魅力で、餌を食べる様子も観察できる。セイウチが魚を豪快に丸のみする姿や、ペンギンの意外な大食漢ぶりも人気だ。では、そんな動物たちの世話をする飼育員は、一体どんな食事をとっているのだろうか。今回は、バックヤードに潜入し、貴重なランチタイムを取材した。
飼育員のランチに密着
ゴマフアザラシやセイウチ、コツメカワウソなど、館のアイドル的な海獣を担当するのは金子千夏さん(29)。開園前から獣舎の掃除をしながら、動物たちに異常がないかを確認する。その後、餌を食べやすい大きさにカットし、決められた量に小分けする作業を行う。
正午を過ぎ、ようやく自分の食事の時間だ。弁当箱を開けると、だしの香りがほんわりと漂う。この日のメインは、先輩がお裾分けしてくれたたけのこご飯。大好物のはんぺんは午後の活力源だ。実家で母親が作ってくれた「はんぺん納豆揚げ」が思い出の味という。
弁当は、終業後に翌日分を作るか、休日にまとめて準備することが多いそうだ。「仕事が終わると、どっと疲れが出ます。普段は手早くできる肉料理が多いですね」と笑顔で語る。
飼育員になったきっかけ
大学まで打ち込んでいたソフトボールを引退した直後は「燃え尽きていた」という金子さん。都内のIT企業に勤めていた時、旅行先の九州で訪れた水族館でイルカショーを見たことが転機になった。イルカと心を通わせる飼育員のキラキラとした表情に心を奪われ、「私もあっち側に行きたい」と転身を決意した。
入社前に伊勢シーパラダイスを訪れた際、目の前に現れたトドの迫力に圧倒された。今では「動物たちの意欲を引き出すトレーニングの成果です。先輩たちが築いてきた信頼関係の積み重ねがある」と語る。
「部活と同じくらい動き回っています」という毎日。命を預かる責任は重いが、子どもを守る母親の姿や、すくすく育つ赤ちゃんの姿など、感動的な場面に出会えるのがやりがいだ。「他に味わえない楽しみがある仕事です」と目を細めた。
ランチ後のショー
昼食が終わると、すぐにトドのショーへ。合図を送ると、トドの「ヒナちゃん」が観客に手を振り、舌を出して「あっかんべー」を披露。拍手に包まれた金子さんの笑顔が輝いていた。
金子さんのプロフィール
- 1996年9月、千葉県八千代市出身
- 淑徳大学卒業後、東京都内のIT企業で事務職に就く
- 2021年に伊勢シーパラダイスに就職し、海獣担当の飼育員に
- 趣味はライブ鑑賞
この日の弁当メニュー
- たけのこご飯
- 明太卵焼き
- はんぺんつくね(しそ入り)
- 豆腐となめこのみそ汁
- ミニトマト
- レタスサラダ



