東日本大震災で描けなくなった画家、鮮やかな色彩で再起 大阪で個展
東日本大震災で描けなくなった画家、再起の個展 大阪で

生まれつき脳性まひで知的障害がある岩手県陸前高田市の画家、田崎飛鳥さん(44)の個展が、大阪府和泉市の府立弥生文化博物館で開かれている。東日本大震災で被災し、一度は絵筆を執ることができなくなったが、再びキャンバスに向かい、2025年大阪・関西万博に出展した巨大壁画が注目を集めた。今回の個展では、故郷の復興を願って描いた作品を中心にアクリル画27点を展示し、来場者の心を動かしている。14日まで。

震災で全てを失い、筆を折る

田崎さんは埼玉県生まれ。幼少期から絵本や画集に関心を持ち、「身体に障害があっても、感性に障害はない」との信念を持つ彫金作家の父、実さん(79)の勧めで絵を描き始めた。中学入学を機に母・美代子さん(74)の実家がある陸前高田市に移り住み、福祉施設に通いながら制作に励み、各地のアート展で入賞するまでになった。

しかし、2011年3月に発生した東日本大震災の津波で自宅とアトリエが全壊。それまでに描いた約200点の作品や愛用の画材を全て流失した。慣れ親しんだ豊かな自然と地域の人々を一瞬で失い、あまりに大きな衝撃と悲しみで絵を描けなくなってしまった。

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父の言葉で再起、「星になった人々」

「言葉にできない思い。今だからこそ描かなければいけない絵があるのではないか」。実さんの言葉に背中を押され、震災の3か月後、津波で命を落とした地域の人々を描いた「星になった人々」で創作活動を再開。かさ上げ工事で変わりゆく街の風景、亡くなった人々がハトやフクロウとなって街を見守る姿などを、鮮やかな色彩と大胆な構図で表現してきた。

万博で話題の巨大壁画、個展で27点

現在は、障害をもつ作家の芸術作品を取り扱う「ヘラルボニー」(盛岡市)に所属し、動植物や風景などをモチーフに創作を続ける。昨年の大阪・関西万博では、会場中央に広がる「静けさの森」近くに田崎さんの作品「森の道―青い森」を拡大した巨大壁画(縦約8メートル、横約13メートル)が登場し、話題を呼んだ。

今回の個展では、津波への怒りや悲しみを表した「希望の一本松」、津波で流された行方不明者やがれきを描いた「祈り―行方不明203名の方へ」、飼っていた猫を題材にした「レオの家族」などを展示。会場で鑑賞していた京都市上京区の女性(52)は「大胆な色彩で伸び伸びと描かれており、作品に込めた思いが伝わってきた」と熱心に見入っていた。

ワークショップや対談も

個展は14日までの午前9時半~午後5時(8日休館)。入館料は一般430円など。6日は小学生以下を対象に、田崎さんが参加するワークショップを開催。7日午後2時からは、実さんと一般財団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」の藤井奈緒理事の対談がある。申し込み、問い合わせは田崎飛鳥大阪個展実行委員会(090・8385・2686)。

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