元兵士のPTSD支援、九州で新たな拠点が設立 家族会が活動を開始
戦争に出征したことによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとみられる元兵士の家族や支援者らが、九州地域で新たな市民団体「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会九州」を発足させました。これは全国で6か所目となる拠点で、戦争のトラウマに苦しむ元兵士とその家族への支援を強化することを目的としています。
全国に広がる支援ネットワークの一環として
市民の会は2018年、前身の団体が東京で活動を始め、その後各地に広がりました。これまでに、元兵士の心の傷に関する実態調査を国に求める活動や、体験を証言する集会を重ねてきました。九州での設立は、このような取り組みを地域レベルで深化させる重要な一歩です。
福岡市の西南学院大学で8日に開催された第1回定例会には、元兵士の子供や精神科医など約20人が出席し、九州の会の設立を正式に宣言しました。参加者からは、以下のような多様な活動提案が挙がりました。
- 体験を語り合う場の設置
- 戦争によるPTSDを題材にした映画の上映会や書籍の読書会の開催
- 父や祖父の出征時の足跡をたどるため、人事資料「軍歴資料」を読み解く勉強会の実施
高齢化する元兵士の子世代、若い世代への啓発も視野に
福岡市西区に住む75歳の女性は、陸軍で父が上海や満州(現中国東北部)に赴き、「二度と足を踏み入れられない」と語っていた経験から、この会に参加しました。彼女は次のように語っています。
「元兵士の子供たちも既に高齢となっています。大学生など若い世代にも参加してもらい、戦争によるPTSDについて理解を深める企画を行いたいと考えています。戦争の記憶を風化させず、次世代に伝えることが重要です。」
この発言は、戦争のトラウマが世代を超えて影響を及ぼす問題であることを浮き彫りにし、教育や啓発活動の必要性を強調しています。
今後の活動計画と連絡先
第2回定例会は4月26日に、同じく西南学院大学で開催される予定です。詳細な問い合わせは、同会(東京)の代表である黒井秋夫さん(電話:080-1121-3888)までお願いします。この拠点の設立により、九州地域での戦争PTSDに関する支援がさらに充実し、社会的な認知向上が期待されます。
戦争の傷跡は、物理的なものだけでなく、心に深く刻まれることも少なくありません。元兵士とその家族が抱えるPTSDの問題は、歴史的な観点からも現代の社会課題としても、継続的な取り組みが求められています。九州での新たな活動が、全国的なネットワークと連携しながら、より包括的な支援を実現することを願っています。