伊丹市昆虫館が日本博物館協会賞を受賞 地域と共に歩む博物館の取り組みが評価
兵庫県伊丹市の伊丹市昆虫館が、博物館の模範となる顕著な成果を上げた施設に授与される「日本博物館協会賞」を受賞しました。全国で7館目となる栄誉で、同県内では明石市立天文科学館に次いで2館目の快挙となります。
地域を巻き込んだ学びの場づくりが高く評価
同協会賞は2020年に創設され、昨年11月の第73回全国博物館大会で授賞式が行われました。伊丹市昆虫館の受賞理由として、地域を巻き込んだ「学びの場」を生み出してきたことが大きく評価されました。
日本博物館協会は授賞理由で、同館の活動を「まさに自然科学と文化の融合という視点、地域再生の視点から博物館の存在意義がある取り組み」と高く評価。博物館学研究への貢献も加味し、「日本博物館協会賞の受賞館としてふさわしい施設」と位置付けました。
関西最大級のチョウ温室とユニークな企画展
伊丹市昆虫館は、冬の渡り鳥の飛来地として知られる昆陽池公園の一角に1990年、市制施行50周年を記念して開館しました。市立の小規模博物館ながら、生きた昆虫や標本を展示し、中でも高さ約15メートルの半球状ガラスでできたチョウの温室は関西最大級の規模を誇ります。
この温室では一年中、約14種1000匹のチョウが放されており、訪れる人々に自然の美しさを直接体感できる場を提供しています。さらに、展示コーナーで「昆虫たちの夏祭り」を体感できる特別展「いたこんカーニバル」を開催するなど、個性的な企画を次々と打ち出してきました。
伝統文化を現代に蘇らせる「鳴く虫と郷町」イベント
同館の特徴的な活動の一つが、2006年から続く「鳴く虫と郷町」イベントです。江戸時代に庶民の間で広まった虫の声を楽しむ「虫聴き」を現代版にアレンジしたこの取り組みは、市や地域住民とともに開催されてきました。
秋の風物詩として定着したこのイベントでは、子どもたちが自宅で繁殖させたスズムシを展示に生かすなど、地域を巻き込んだ活動が続けられています。街中の樹木に虫かごがつり下げられ、誰もが気軽に虫の声を楽しめる環境づくりが行われてきました。
坂本昇館長「誰が来ても楽しめる博物館でありたい」
受賞について、伊丹市昆虫館の坂本昇館長は「とにかくびっくりした」と率直な驚きを語りました。さらに「誰が来ても楽しめる博物館でありたい。今後は常設展示の充実を図るなど、賞にふさわしいレベルになるよう頑張りたい」と今後の抱負を述べています。
同館は小規模ながらも、地域と密接に連携し、自然科学と文化を融合させた独自の活動を展開。博物館としての存在意義を地域社会に示し続けてきたことが、今回の受賞につながりました。この受賞は、地方の博物館が地域と共に成長するモデルケースとしても注目されています。