愛知・一宮の老舗書店「文正堂」、立ち読み大歓迎!地域のプラットホーム目指す三姉弟の挑戦
愛知・一宮の老舗書店、立ち読み大歓迎!地域のプラットホーム目指す

愛知県一宮市の真清田神社近くに、創業120年以上の老舗書店「文正堂書店」がある。整然と並ぶ本棚からは、惜しみなく注がれる本への愛が伝わってくる。記者は小学生の頃、登下校中も本を読みながら歩く二宮金次郎のような子どもだったが、今も書店を見つけるとつい引き寄せられてしまう。

立ち読み大歓迎の理由

店の絵本コーナーでは読み聞かせをする親子の姿が見られ、近くの学習塾帰りの学生たちが参考書を探しに訪れる。コミックも中身を確認してから購入してほしいとの思いから、立ち読み防止のフィルムは一切つけていない。4代目の吉田正雄さん(42)は「店を地域のプラットホームにしたい。立ち読みだけでも大歓迎」と話す。姉の水野理恵さん(48)と平野静江さん(52)のきょうだい3人で店を営んでいる。

創業からの歴史

創業は明治35年(1902年)。当初は文房具や雑貨を販売しながら本も並べていたという。2代目の時代に小中学校の教科書販売を主軸とする書店へと転換。戦後はリヤカーに教科書を積み、学校へ届けて回った。現在も市内の小中高校25校の教科書を取り扱っている。

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お客様第一の姿勢

同店が大切にしているのは、お客様が求める本がないときに「ありません」の一言で片付けないことだ。「せっかくお店まで来てくれたお客様をがっかりした顔で帰らせない」と吉田さん。時間がかかってもお客様の読みたい一冊を手に入れる。ネットに不慣れな高齢者に代わり、通販サイトで本を取り寄せることもある。

三代目の背中を見て育って

父で3代目の哲夫さん(78)が店でがむしゃらに働く姿を見て育った。当時は定休日がなく、子どもの頃に父と遊んだ記憶はほとんどない。「一緒に遊んでくれる他のお父さんがうらやましかった」と吉田さん。一度父に愚痴をこぼしたことがあるが、「店を守ることが家族を守ること」と一蹴された。家族と従業員の人生を背負い、夜遅くまで帳簿や新刊本一覧と向き合っていた父の姿は「仕事に生きる父はかっこよかった。どこかで憧れていた」と振り返る。

店を継ぐ決意

店の屋号から「正」の字を取って正雄と名付けられた吉田さん。当初は店を継ぐ気はなく製造業に就職したが、「自分は組織の歯車の一つ。替えはいくらでもいた」と感じ、どうせ働くなら父と姉たちが守り続けてきた店を手伝いたいと考え、26歳で店に入った。

建て替えと新たな挑戦

店を継いで5年前、思い切って店舗を建て替えた。同業者からは「もうからん業界なのに」と驚かれたが、真新しい店と大きな看板は吉田さんの「がんばる気概」の表れだ。

紙の本の魅力

出版不況や電子書籍の普及が重なり、紙の本はどんどん姿を消していく。吉田さんは「紙の本の魅力は不便さ」と語る。ずっしり重い本を広げ、ページをめくるのは濃密な時間であり、読んだ感動も手と記憶の中に確かな質量をもって残る。「店で偶然出会った一冊がその人の人生を変えるかもしれない。それが対面で本を売る魅力です」と力を込める。

(児島恵美)

店舗情報

文正堂書店は児童書や参考書、コミック、雑誌、教科書などを幅広く取り扱う。営業時間は月~土曜が午前9時~午後8時、祝日は午前10時~午後7時。日曜定休。所在地は一宮市真清田1の1の4。問い合わせは電話0586(72)2605まで。

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