非公開の名古屋城・東南隅櫓を3Dモデルで体感、修理前の記録と魅力発信へ
非公開の名古屋城・東南隅櫓を3Dモデルで体感

名古屋城の重要文化財「東南隅櫓(すみやぐら)」は、1612年頃に完成し、現存する当時の姿を今に伝える貴重な建造物です。戦時には見張りや防御の拠点として、平時には武具の倉庫として使用されました。1階部分に屋根がないため、外観は2階建てに見えますが、実際には3階建てという珍しい構造を持っています。

非公開となった背景と新たな挑戦

しかし、この東南隅櫓は2023年1月を最後に非公開となっています。老朽化と耐震性の問題により、耐震補強を含む大規模な修理工事が計画されているためです。こうした状況を受け、現在の状態を詳細に記録し、将来の修理や文化財の魅力発信に役立てるための新たな取り組みが2025年5月から始まりました。

名古屋城調査研究センターとエンジニアリング企業「MHIエアロテクノロジーズ」(名古屋市中区)が連携し、東南隅櫓の3Dモデル作成とその活用に関する研究を開始したのです。この協力は、現実と仮想世界を融合させる「XR技術」のイベントをきっかけに実現しました。名古屋城側は非公開建造物の有効活用を、同社は計測技術の向上を目指し、互いのニーズが合致した形です。

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3Dモデル作成のプロセス

モデル作成には、レーザーを照射して無数の点の距離を測定し立体化する「レーザースキャン」と、複数の方向から撮影した写真を組み合わせる「フォトグラメトリ」という2つの手法を組み合わせました。

レーザースキャンでは、内部の1階で76点、2階で92点、3階で79点、外部で92点の計測を実施。写真はドローンによる空撮で1119枚を撮影しました。レーザーが届かず点群データに穴が開いたり、内部が暗く撮影が困難な箇所もありましたが、拡大・縮小・回転が自在な3Dモデルが完成しました。

XR技術で一般公開、新たな文化財体験

昨秋に行われたXR技術のイベントでは、一般参加者が専用ディスプレーを通じて、実際に櫓の中に入るよりも多角的な角度から東南隅櫓を体感しました。この取り組みは、新たな層に文化財への関心を持ってもらう有効な手段として評価され、名古屋城調査研究センターの大村陸学芸員(30)は「平常時の記録としてだけでなく、魅力を発信するコンテンツにもなり得る」と期待を寄せます。

名古屋城では今後、所蔵品などをデジタル化する「デジタルミュージアム」の構築を予定しています。文化財の3Dモデル作成には専門技術が必要などの課題はあるものの、名古屋城の魅力発信に直結するこの分野のさらなる発展が期待されています。

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