春の到来を告げる伝統の法要、天野山金剛寺で厳かに執り行われる
春の訪れを告げる伝統行事として知られる「正御影供(しょうみえく)」が4月21日、大阪府河内長野市天野町にある真言密教の名刹・天野山金剛寺で厳かに営まれた。この法要は弘法大師(空海)の遺徳を深くしのび、その功績に感謝を捧げる供養の儀式である。
850年以上続く歴史ある伝統行事
天野山金剛寺は弘法大師が修行を積んだと伝えられる由緒ある寺院で、高野山から弘法大師の貴重な図像(真如筆)も譲り受けている。正御影供とそれに伴う「百味飲食(ひゃくみのおんじき)」は市指定無形民俗文化財に指定されており、寺の記録によれば実に850年以上もの長きにわたり継承されてきた歴史ある行事である。
正午頃、山伏が吹く荘厳なホラ貝の音を合図に、僧侶たちの厳かな行列が金堂へと続き、法要が開始された。読経が響き渡る中、伝統の儀式が執り行われた。
色鮮やかな供物「百味飲食」が御影堂へ
法要のハイライトとなるのが「百味飲食」の奉献である。この供物は丸餅や豆、アスパラガス、バナナなど多種多様な食材を色鮮やかに円柱状に飾りつけた盛物(もりもの)と、30キロから40キロもの蒸し米を練り上げて作られた仏供(ぶっく)から構成されている。
地元の檀家たちによって「奠供(てんぐ)」と呼ばれる役割を担い、これらの供物は弘法大師の肖像図像が祀られている御影堂まで丁寧に運ばれ、献上された。伝統の技法で調理され、華やかに飾り付けられた供物は、春の豊かな実りと生命の息吹を象徴している。
「ハルゴト」として親しまれる春の風物詩
この行事は地元では「ハルゴト」という愛称で親しまれており、春の到来を告げる風物詩として地域の人々に深く愛されている。毎年この時期になると、多くの参拝客や観光客が寺院を訪れ、伝統の法要に参加し、春の訪れを共に祝う。
天野山金剛寺の関係者は「弘法大師の教えと遺徳を後世に伝えるとともに、地域の絆を深める大切な行事として、これからも継承していきたい」と語っている。850年の伝統が現代に生きる人々によって守り継がれ、新たな春を迎えるこの地に、歴史と信仰が息づいている。



